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ラテンアメリカが世界の諸大国をひきつける

マリア・ベレン・チャプール
Infobae.com 2014/07/28

 エネルギー資源や農産物、鉱物のような自然資源が非常に豊富な地域であるラテンアメリカは、多くの国家元首が引きつけられる地域となった。それらの重要な経済大国の元首たちは、ラテンアメリカの征服に乗り出すことを決意したのだ。

 世界第2位の経済大国である中国の習近平大統領と、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、この7月、ラテンアメリカ諸国を歴訪した。国家元首の訪問ラッシュの最後は、25日から始まった、世界第3位の経済大国日本の安倍首相の訪問だった。日本の首相がラテンアメリカを最後に訪問したのは、10年以上も前のことだ。安倍首相の訪問は、ラテンアメリカ諸国との関係を強化するためのものであり、訪問先の中で、南米南部共同市場(MERCOSUR)に加盟している国は、ブラジルだけだった。アルゼンチン、キューバ、ベネズエラは、訪問先から除外された。プーチン大統領と習大統領が、米国政府と敵対的な関係にある国々を訪問し、米国との対立を明確に示したこととは対照的に、安倍首相は、何らかの形で米国と協力関係にあるか、米国に対して友好的な国々を訪問し、米国との強力な同盟関係を再確認するにとどまった。そこで生じてくる疑問は、米国にとってのラテンアメリカには単に地政学的な利点しかないとしても、黙って見ているよりは引き寄せておく方が得策であろうに、米国はなぜ、ラテンアメリカにこのような空白を許し、ほとんど興味を示さないのか、ということだ。

 中国とロシアは、米国がラテンアメリカに無関心であると考え、経済的な利益のためだけでなく、米国が放置した空白を利用する戦略的な意味でも、資源豊かなラテンアメリカに進出することを決意したようだ。ラテンアメリカの多くの国々には反米感情があるため、関係を強化するには都合がよく、難しいことでもない。この13か月で2回目となった習大統領の訪問は、ブラジル、アルゼンチン、ベネズエラ、キューバを含み、経済だけでなく、貿易や地政学的な分野においても、ラテンアメリカを重要視するという明確なメッセージを残すものとなった。中国は、ラテンアメリカの貿易相手国第2位であり、主要な投資国のひとつでもある。習大統領は、ラテンアメリカとの貿易を拡大し、インフラ、通信、銀行の各分野における投資を増大する考えをもって訪問した。ベネズエラ、キューバ、アルゼンチンを訪問したことは、偶然ではない。これらの3カ国は、何らかの形で米国と対立している国で、その不安定な経済が習大統領の分厚い財布に誘惑されたことは間違いない。その上、中国が米国の安眠を脅かし、米国に代わる世界の強国になろうとする戦いを見るという、プラスの材料もあった。この夢の実現までには、実現する日が来るとすればの話だが、まだ何年もかかりそうだ。

 プーチン大統領の場合、金を持ってきたのではなく、ラテンアメリカのいくつかの国と同盟を結んだり、関係を強化することを期待しての訪問だった。このところ、ロシアとラテンアメリカの経済的な関係はほとんどなくなっている。プーチン大統領の訪問の真の目的は、むしろ、ウクライナ問題に関連して、ラテンアメリカ諸国に支持を求めることだった。ロシアの貿易相手国であるヨーロッパの国々は、今年のウクライナの騒乱以来、ロシアに対して不信感や差別的な感情を抱くようになっているため、同様の政治的土台を持つラテンアメリカ諸国との同盟強化に着手したのだ。単なる関係強化とはいえ、中国とロシアが、米国の国土にこれほど近い地域と関係を構築しつつあることは、米国を心配させ、その外交政策を方向転換させるレベルのことだろう。それをしないのは、長期的に見れば、深刻な失策となる可能性がある。

 日本の安倍首相は、25日(金)から11日間の予定で、日本の首相としては10年ぶりに、ラテンアメリカ諸国を歴訪している。訪問国は中南米とカリブ海の5カ国(メキシコ、トリニダード・トバゴ、コロンビア、チリ、ブラジル)だ。安倍首相は、中南米・カリブ海における日本の存在感を強化するだけでなく、増加しつつある中国の影響力に対抗することや、自然資源が豊富で、購買力が高まりつつある重要な市場であるこの地域において、外交的な支持を獲得することも目指している。安倍首相の主要な目的が、とりわけ来年の国連安全保障理事会の非常任理事国入りのために支持を獲得することであることは間違いないが、日本の非常任理事国入りは容易ではないだろう。アルゼンチン、ベネズエラ、キューバは訪問国には入っていない。米国と非常に良好な関係を維持しているメキシコ、チリ、コロンビアの優先順位が高いということだ。このことは、日米の関係が強力かつ絶対的なものであることを証明しており、日本が、反米的な立場をとる中国やロシアとは、対極に立っていることを示している。

 ラテンアメリカ諸国の中で、ブラジルだけは、政権やイデオロギーにかかわりなく、純粋にその経済規模によって、すべての国からの訪問を受けている。ブラジルの経済は、メキシコとその規模を競い合ってきたが、現在はラテンアメリカで最大の規模となっている。

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