e-MEXICO

ホーム > 経済 > ラテンアメリカがIMFを打ち破った

ラテンアメリカがIMFを打ち破った

ブレトン・ウッズ協定以来初めて、アメリカ大陸の様々な国の政府は、国際通貨基金(IMF)抜きでやっていくことができることを証明した。

Rebelion 2012/12/23 (APAS)

 アルゼンチン、ブラジル、ベネズエラ、エクアドル、ボリビア、ニカラグア、キューバ、ハイチ、ガイアナなどの国々や、そして、ある意味ではメキシコ、チリ、コスタリカもまた、国際通貨基金(IMF)の支配や忠告などの干渉を受けることなく、国の経済を好ましい方向へ導くことができた。

 国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(CEPAL)、イベロバロメトロ、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の発表によると、この傾向は、エクアドル、ベネズエラ、ボリビア、アルゼンチン、ブラジル、パナマなどの国々の経済に、一層顕著に現れている。

 例えば、エクアドルは、IMFが命ずる「処方箋」と正反対の政策を適用することで、2009年から2011年の間に、望ましい成果を上げた。アンデスと石油の国エクアドルは、3年前から、ラテンアメリカで最も高額の社会関係費を維持している。その金額はGDPの12%であり、社会関係費の全アメリカ大陸平均の2倍にあたる。IMFであれば、逆のことを勧告していたであろう。つまり、社会関係費を、アメリカ大陸平均の半分まで減額するということだ。ラファエル・コレア政権は、それとは反対のことを行い、エクアドル社会は、国内市場に改善が見られた。

 ラテンアメリカ経済の回復や、この10年で起こった社会的な進歩は、IMFが推進する構造調整政策とは反対の政策と、その結果として生じる富の大規模な再分配によって、可能になったものである。

 NGO団体「インテルモン・オクスファム」は、メディコス・デル・ムンド、ユニセフ、カリタス、イエズス会社会活動団体グループの協力の下に、「危機と不平等と貧困」というレポートを発表した。

 このレポートでは、アルゼンチンやその他の国々が、危機を解消した方法が明確にされており、IMFの従来からの手法に対する拒絶、債務を抱えないような政策の適用、「管理」為替レートの採用、社会関係費の増額、資本の流入に対する規制が、浮き彫りにされている。これらは、アルゼンチンのネストル・キルチネル前大統領と、クリスティーナ・フェルナンデス現大統領の任期において、採用されている政策である。

 レポートは、「結果として、アルゼンチンの通貨政策は一層健全になり、それによって、雇用の創出や貧困の減少などの、より広範な発展目標を推進することができるようになった」こと、そして、「大体において、採用された手法全体が、迅速な経済成長と重要な社会的進歩のプロセスに貢献した」ことを指摘している。

 また、「ラテンアメリカにおける経済の回復は、外的な条件の改善、とりわけ、一次産品の国際価格の上昇や、債務のサービス負担の減少などの状況下で生じた」ことについても言及している。

 レポートの分析によると、「多くの国々は、危機を脱出するために、当時IMFが構造調整政策で押し付けた新自由主義的な手法とは、正反対の政策を採用した。そして、この構造調整政策というものは、IMF自身が最近になって、修正を加えることになったような政策なのである」

 「2002年以降、豊富な自然資源を有する数カ国は、国庫の収入を増加させ、政府にしっかり主導された「進歩的な」財政政策や産業政策を適用することで、経済全体の収入を改善した。このような政策は、公共部門、サービス部門、製造部門において、質の良い雇用を創出することに貢献した」

 また同様に、このレポートにおいては、「多くの国が、社会関係費の増額も行い」、「投機目的の資金流入に歯止めをかけ、自国の通貨の過剰な上昇を防止するために、管理為替レート制の採用や、資本に関する規制が行われた」ことが強調されている。

 「アルゼンチン、ブラジル、コスタリカなどのように、近年資本勘定の規制を設けた国々は、その規制によって、財政の安定性を強化し、為替レートの好ましくない上昇を防止した」

 「チリについては、銅の生産と開発を、大部分において公共部門で運営することを維持し、それが、収入改善の鍵となった」

 「アルゼンチンは、国民の半数を貧困に陥れた2001年の金融危機のあと、資本の流出入についての規制を相次いで実施した。2005年以降、短期外国投資は、投資額の30%に固定されており、その30%は、1年間、中央銀行に留め置かれることになっている」

 レポートを作成した専門家たちは、「この規制は、好調期における資本流入を緩やかにし、為替レートの不安定性を減少し、通貨政策の幅を拡大することにおいて、効果的であった」と述べている。

 レポートは、「ブラジルは2009年に、株と公債の国内市場における外国投資に対して、税を導入した」と述べ、「これらの税の目的は、投機的な資本の流れが、為替レートを押し上げることを妨げることであった」と指摘している。

 「2008年以降、短期的な投資がブラジルに殺到し、レアルの価値を人為的に膨らませた。これは、ブラジルの工業輸出の競争力を脅かした」

 従って、レポートは、「外国投資に課税することは、資本の流出入や通貨高が加速していくことを抑える意味で、一定の効果を示した。従って、こうした課税は、雇用を保護することに貢献しているのである」と結論づけている。

↑ PAGE TOP

inserted by FC2 system