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海外直接投資

ホセ・オテロ
El Economista 2012/10/18

 一般に、電話通信について話されるとき、人は、決して廃れることのない、いくつかのテーマに出くわすものだ。これは、そうしたテーマのそれぞれの背後にある問題が、行き詰まっていることを意味するものではない。まったく逆で、市場の避けられない進歩に対して、議論が引き続き持続していることは、単に、まだ解決を待っている仕事がある、ということを示している。大多数の市場において、「情報格差」は、そうした未解決の問題の一つであり、次第にその範囲を拡大して、接続性、内容、アプリケーションの使用権などの概念を、様々な定義のなかに分類するまでに至った。

 メキシコについて言えば、不死鳥のように折々よみがえる、それらの不朽のテーマの一つは、固定通信サービスにおける海外直接投資である。固定通信サービスを、海外直接投資の例外とすることが重要だ。というのは、モバイル通信サービスの提供を希望している外国の事業者の投資には、上限がないからだ。こうした理由から、メキシコには、ネクステルとモビスターが存在している。しかし、両事業者とも、メキシコ人ユーザーにサービスを提供するにあたって、不利な状態にあると訴えることはできる(非常に高いコストに対応しなければならないと、考えてほしい)。

 非常に高いコストとは、何を指しているか? 本紙に今年1月、私が書いたものに基づいて、これに答えていく。その記事の中で、ある国に投資を誘致する要因について書いた。「投資を刺激する四つの主要な要因を挙げることができる。それは、メキシコの規制枠の中での透明性、競争の存在、保護主義的措置の廃止、官民提携体制の設立である。」 不幸なことに、通信関連の膨大な訴訟は、新しい規範の制定が急務であるこの業界に、透明性を投影することには、役に立たない。同様に、外国資本に制限を設けることと、事業者が新サービスを打ち出すことを阻止することは、競争の度合いにブレーキを掛けることにつながっている。結局、官民一体の活力が存在していないことが、現在インフラが不足している複数地域における投資の可能性を、減少させている。

 メキシコでは、固定電話のテルメックスが、代表的なケースであろう。テルメックスは、有料のケーブルテレビの許可を所有していないため、その配線網を近代化することに、積極的に投資する意志を持っていない。テルメックスは、他のブロードバンド事業者と競争せざるを得ない地域のみで、投資している。同様に、モビスターやネクステルのような企業は、固定通信サービスにおける外国資本への制限を設けている時代錯誤の法律があることで、メキシコにおける増資の可能性を制限されている。この三社の積極的な投資が行われないことは、市場における多くの競争相手に補助金を出すことと同じであると解釈され得る。というのは、三社の投資が行われないことによって、競争相手は、短期的に多額の資金を投資することを、免除されるからだ。

 前回の記事では、補助金のことで、何について言及したいか、十分に説明することができなかった。前回は、単に、国内及び海外の投資を抑制するということが、補助金の役割を果たしていることを述べた。しかし実際には、この補助金というものは、事業者の競争圧力を排除してしまい、その結果、より積極的にサービス提供地域を拡大したり、技術革新を加速させたりする意欲を削いでしまうものである。

 情報産業コンサルティング企業のシグナルズ・テレコム・コンサルティングは、メキシコにおける外国投資の障害を排除することは、次のような結果を生み出すと考えている。

・通信業界、とりわけケーブルテレビ業界の強化の促進。これは、消費者が受けるサービス量の減少を意味するのではなく、現在市場にあるこれらのサービスの、主要な事業者に対抗できるであろう、大規模なケーブルテレビ企業をつくることを指す。

・テレフォニカとネクステルに、固定通信資産への投資の可能性を開く。これは、二社の現在の提供サービスを多様化させるか、または少なくとも、現在の事業コストを下げるものである。というのは、市場でサービスを提供するために、第三者のサービス、例えばバックホール回線などを契約する必要がなくなるからだ。

・ブロードバンドと有料テレビのサービス提供において、圧力が増加する。というのは、メキシコにおける外国投資は、これらの分野に向かうようになるからだ。同様に、市場において、収斂したサービス提供が行われるようになる。この市場には、おそらく、通信設備を自社でもつモバイルサービスや、持たずに借り入れる移動体通信事業者が含まれる。

 しかし、言及しておく必要があるのは、固定通信サービスのための外国投資を可能にすることは、この部門の競争を急激に変えることを意味しない、ということだ。なぜなら、現在の多くの企業の財政状況は、過去と違っていて、以前のように、固定通信資産への投資を許可するよう、メキシコ政府に申請をしなくなっているからだ。言い換えれば、市場に大勢の投資家が出てくることを期待するべきではなく、期待すべきなのは、諸企業の戦略的な動きである。それらの企業は、すでに市場に存在しており、投資の拡大の、主要な候補者だからである。

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