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ますます有害になる新GM作物

ある科学的な研究によると、ブラジルの州のひとつであるリオ・グランデ・ド・スル州のエスプモーゾという地域で、農薬を浴びた大豆栽培労働者のDNAの中に、異常が発見された。

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Ilustracion: REL-UITA

マリア・イサベル・カルカモ
Rel-UITA 2013/09/13

 2007年8月末、米国のダウ・ケミカル・カンパニー社の子会社であるダウ・アグロサイエンス社は、除草剤2,4-Dに耐性のあるBtトウモロコシ(*)を2012年までに完成することと、新型の遺伝子組み換え(GM)大豆を2013年から2014年の間に完成することを約束した。

 この発表にあたり、ダウ・アグロサイエンス社のジェローム・ペリベア取締役は、「近年におけるグリフォサート耐性のGM作物 ―米国のモンサント社の進歩した技術― の急速な採用が、この除草剤に対する主な雑草の耐性の増大を促進した」と述べた。

 実際には、ダウ社を不快にさせていることは、モンサント社のグリフォサート耐性の大豆が普及していることである。というのは、ある意味で、それがダウ社の除草剤のシェアを奪ったからである。

 モンサント社との競争に加えて、ダウ社は、2,4-Dやグルフォシネート・アンモニウムのような、グリフォサートよりも強力な新しい除草剤を提供することを目指している。

 今年3月、ダウ社は、農薬の2,4-D、グルフォシネート・アンモニウム、グリフォサートの使用に耐えるように遺伝子操作された大豆DAS-44406-6について、商業栽培の認可を米国、アルゼンチン、ブラジル、カナダで、輸入の認可をオーストラリア、ニュージーランド、カナダ、EU、日本、南アフリカ、韓国、ウルグアイで申請した。

 オーストラリア、ニュージーランド、日本、南アフリカは、この申請を認可した。このことは、ブラジル、アルゼンチン、米国、ウルグアイのような他の国々で、連鎖反応を引き起こすかもしれない。

 現実が示していることは、これらの新しいGM作物は、それを生産し、商業化している各企業が主張していることとは反対に、より大量の、より強力な農薬を使用するために設計されたということである。そして、さらに悪いことは、一種類の農薬を利用するのではなく、数種類の併用に頼らざるを得なくなることである。

2,4-D

 アンモニウム塩やエステルの製剤である除草剤2,4-Dは、1940年代に登場して以来、最も使用される除草剤のひとつになった。

 その有効成分は、目に対する刺激が非常に強く、ホルモンのしくみをかく乱することが証明されている。また、健康へのその他の慢性的な影響や、癌さえをも引き起こす可能性がある。突然変異を生じさせ、人間の細胞の染色体を傷つける。

 2,4-Dのアンモニウム塩は、根から素早く吸収される。一方で、有機化合物(エステル)は、葉から吸収される。その後、有効成分は植物全体に行き渡り、成長抑制剤として作用する。

 除草剤2,4-Dと2,4,5-Tを同じ割合で、農業における使用時よりもはるかに高濃度のまま混ぜたものは、強力な化学兵器となり、ベトナム戦争において、米軍によって多用された。これがいわゆる「オレンジ剤」で、空中散布によって、枯葉剤として使用された。

 この除草剤は、ヨーロッパの様々な国やカナダの一部では、禁止されている。

グルフォシネート・アンモニウム

 有効範囲の広い除草剤である。1980年代以降、使用される量は比較的少量であったにもかかわらず、グルフォシネート耐性GM作物の登場によって、その使用は相当量増大した。

 バイエル・エンバイロメンタル・サイエンス社の製品安全性データシートによると、グルフォシネート・アンモニウムは、ラット、マウス、イヌを使用した慢性毒性の調査において、動物の腎臓疾患や高い死亡率の原因となった。

グリフォサート

 全世界で最も使用されている農薬のひとつであり、世界の除草剤市場の約25%に相当するほどである。

 雑草や低木、特に多年生植物を除去するために開発され、根からではなく、葉から吸収される。グリフォサートの使用によって、植物の芳香族アミノ酸を生み出す能力が抑制されることから、植物が枯死する。

 グリフォサートは、モンサント社の除草剤ラウンドアップの有効成分であり、その特許権は2000年に期限切れとなった。

 モンサント社は、グリフォサート耐性のGM大豆、ラウンドアップ・レディの特許を、数カ国において取得した。現在は、トウモロコシや綿、セイヨウアブラナのように、大豆以外のグリフォサート耐性GM作物が存在している。

 グリフォサートは、皮膚障害、眼障害、肺水腫、急性中毒性肺炎、腹痛、頻脈、高血圧、赤血球の破壊などの重大な異常を引き起こす。中毒によって、死者も出ている。

 最近の研究の指摘によると、グリフォサートは、神経細胞、心臓、腸の奇形や、様々な癌を引き起こす可能性がある。

 2012年から2013年の間に、ダスアグロ・ウルグアイ社は、様々な除草剤に耐性のあるGM大豆とGMトウモロコシについて、試験栽培の認可をウルグアイの種子研究センターに申請した。それらを商業化するためであり、さらに大豆については、米国へ輸出するためである。

 それらのGM作物が消費者の健康や環境に及ぼすかもしれない影響について、何の評価も行われないまま、すべての申請は認可された。


* Btトウモロコシは、殺虫微生物(Bt)遺伝子を組み込み、害虫抵抗性を持たせた遺伝子組み換えトウモロコシのこと

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