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PEMEX民営化の真実

2013/08/12のアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドールのHPのメッセージ動画より

 このメッセージにおいて、エネルギー相のペドロ・ホアキン・コールドウェルに反論したい。サリーナス派のコールドウェルは、石油収益を獲得しようともくろむグループの一員だ。コールドウェルは数日前に、メキシコ石油公社(PEMEX)は企業としては破たんしていて利益がないため、近代化する必要があり、民間資本、とりわけ外国資本に門戸を開くことが必要だ、とコメントした。

 私はここに、ある資料を持っている。これを皆さんに紹介しようと思う。これは、PEMEXの正式な資料だ。すべてを紹介している時間はないが、私のツイッターに全文を掲載するので、皆さんに読んでいただきたい。

 この資料は、投資家、特に外国人投資家たちに提示されたものだ。PEMEXは、投資家たちには真実を語っている。しかし、メキシコの国民には真実は語られない。国民には、ペドロ・ホアキンがコメントしたように、PEMEXは破たんしているため、民間投資、とりわけ海外からの投資を認可する必要がある、と言っているのだ。

 では、この資料には何が書かれているか、目次だけ見てみよう。目次の6項目はいずれも重要事項だが、その中の4項目は、特に基本的で重要なことだ。皆さんには後で、この資料をじっくり検討していただきたい。まず、「PEMEXの収入は?」とある。この資料では、投資家たちに真実を語っている。続いて、「PEMEXと他の世界的な石油会社を比較すると?」「PEMEXとメキシコの大企業を比較すると?」「PEMEXの収益性は?」とある。では、かいつまんで見てみよう。

PEMEXの収入は?

 年間約1000億ドルである。

PEMEXと他の世界的な石油会社を比較すると?

 PEMEXは世界で最も重要な企業のひとつだ。それは、エネルギー関連企業の中だけにとどまらない。目安として資料の記述を見ると、PEMEXは、アメリカ大陸の最も重要な大企業の中で、第13位を占めている。世界的には、世界に存在するすべての企業の中で、第34位である。

PEMEXの収益性は?

 PEMEXは、世界で最も収益性の高い企業のひとつだ。例えば、この資料には、エクソン・モービルが、アメリカ大陸全体で第1位の最大手だと書かれている。PEMEXの収入1000億ドルに比べて、エクソンの収入は約4000億ドルである。しかし、エクソンは、PEMEXほど収益性が高くない。比較のために別の言い方をすると、エクソンの利益の金額は、PEMEXと同程度である。エクソンの場合、4000億ドルの収入のうち、利益は20%から25%であるが、一方でPEMEXは、1000億ドルの収入のうち、750億ドルが利益になっている。

 なぜこのような違いがあるのか? それは、エクソンが石油を持っていないからだ。エクソンは、様々な国の石油を掘削している。PEMEXの場合、メキシコには石油がある。従って、すべてが純粋に利益になる。というのは、石油1バレルを掘削する費用は、10ドルだからだ。

 私はかねてから、掘削費用は1バレルあたり6ドルであるはずだと主張してきた。では、なぜ10ドルなのか? PEMEX内の汚職のためだ。というのは、PEMEXは、油井の探査契約や掘削契約を、有力者のコネクションによって、外国の石油会社に与えるからだ。

 しかしそれでも、1バレルあたり10ドルというコストであれば、1バレルあたり90ドルの利益を得ることができる。なぜなら、現在の石油1バレルの価格は100ドルだからだ。参考のために言えば、PEMEXの一日あたりの石油掘削量は、260万バレル弱である。260万バレル弱が、一日に地下から掘削されている。1バレル100ドルとすると、毎日2億6000万ドルの収入ということになる。

 なぜこれほど収益性が高いのか? なぜこれほどの富を生み出すのか? それは、自然資源には使用料を払わないからだ。石油を作り出すのではなく、石油を掘削するからだ。資源は自然の中にあり、その資源は、再生できないのだから、大切にしなければならない。PEMEXを民営化しようとしている人々は、そんなことは考えもしない。次の世代が受け継ぐことができるように、石油を大切にすることなど、考えもしないのだ。

 では、何のために憲法27条を改正したいのか? 何のために石油公社を民営化したいのか? 単刀直入に言おう。彼らは、石油からの収益を、自分たちで独占したいのだ。しかし、その石油収益は、国のものであり、国民のものである。石油があるから、メキシコの発展のための教育や医療に使う予算もあるのだ。PEMEXは大きな財源になっているのだから、投資が必要とされているわけではない。

 メキシコでは、PEMEXは最大の企業だ。主要な上場企業は、テルメックスなど10社ある。しかし、これらの10社は、PEMEXが公社として1社で得ているほどの収入は得ていない。もちろん、それらの大企業10社は、法人税を払っていないか、払っていても非常に少額である。それに引き換え、PEMEXの場合、石油の生産活動が生み出す金額のほとんどすべてが財務省に入り、それによって、予算が成り立っているのである。

 彼らは、掘削の技術力が不足しているとも主張している。しかし、一体いつから、石油掘削にそれほどの技術が必要とされるようになったのか? 石油掘削は、今までずっと、PEMEXの技術者と労働者が行ってきた。水をくみ上げるように油井を掘削する、その深さが、30メートルではなく3000メートルとか、5000メートルとかいうだけのことで、技術力が必要なのではない。石油は掘削され、パイプラインで港へ運ばれる。カンペチェ州のカンタレル油田で掘削されたり、タバスコ州のドス・カボス港から輸出されたりする。高い技術力は必要とされていない。

 要するに、彼らにとってPEMEXの民営化とは、大きなビジネスに一枚かむということだ。彼らは、金の卵を産むめんどりを手に入れたいのだ。われわれは、それを許すことはできない。だから、真実が知られるように、呼びかけている。彼らがやろうとしていることは、非常に深刻なことだ。だから、われわれは、人々に真実を伝えている。

 ペニャ・ニエトは、PEMEX民営化は国のためになると言うだろう。ペドロ・ホアキンが言ったように、PEMEXは企業としては破たんしているとも言うかもしれない。しかし、それは真実ではない。彼らが意図しているのは、国民のものであり国のものである石油の収益を、自分たちだけで独占することなのだ。

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