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中南米の都市部の格差拡大

10都市で回答した10人に5人が、格差がすでに非常に大きくなっていると感じている。

Grupo de diarios de america(GDA) El Tiempo 2013/10/18

 格差は、ラテンアメリカで際立っている。それは、頭がたくさんあるモンスターのようなものであり、市民はそれを、権威主義的な政府と同一のものと見なしている。それらの政府は、少数の人々の利益に貢献し、貧困地区の急増を後押ししている。貧困地区では、人々は必要不可欠な基本的な公共サービスを受けることができない。なぜなら、少数の人々が、他の人々より大きな権利を持っているからである。

 これが、ラテンアメリカの10都市において、国連ハビタット(都市の発展のための国連機関)が行った意識調査から導かれた結論である。対象となった都市は、アスンシオン(パラグアイ)、ボゴタ(コロンビア)、コルドバ(アルゼンチン)、グアダラハラ(メキシコ)、リマ(ペルー)、モンテビデオ(ウルグアイ)、キト(エクアドル)、サンタクルス(ボリビア)、サンパウロ(ブラジル)、バルパライソ(チリ)であった。

 調査の結果が、各都市における格差の状況についての、ラテンアメリカの人々の意識を表していることは、疑う余地がない。平均すると、10都市の全回答者の52%が、格差が大きい、または非常に大きいと回答した。

 調査が示していることは、単に、ラテンアメリカには格差があると広く認識されていることだけではない。いくつかの都市では、格差が大きいと感じている人々の割合が、平均より最高で24%高いことをも示しているのである。例えば、サンパウロでは76%、アスンシオンでは75%、コルドバでは67%の人々が、大きな格差を感じている。

 また、さらに明白に示されていることは、ラテンアメリカの人々が、この現象がはるか昔までさかのぼるものであることを認識しているだけでなく、格差の状況が将来減少する可能性について、悲観的であるということだ。

 10都市の平均で、56%の人々が、過去5年間で格差が拡大したと感じており、47%の人々が、暗い展望を抱いている。というのは、それらの人々は、今後5年間で格差が拡大すると考えているからである。

 格差が拡大したという認識が最も高かった都市は、アスンシオン(75%)、コルドバ(69%)、グアダラハラ(66%)である。また、将来についての質問では、状況が変わる可能性について、コルドバ(66%)が最も悲観的である。ボゴタ(60%)とアスンシオン(57%)は、格差が縮小する可能性に疑いを抱いている点において、コルドバと同様である。

 しかし、各都市の回答は、この質問については一様ではなかった。例えば、キトでは、回答者の48%が、中程度の格差があると回答し、40%が、わずかな、または非常にわずかな格差があると回答した。しかし、一方で、キトの回答者の34%が、今後5年間状況は変わらないと考えていることも、確かである。

 モンテビデオでは、42%が、やはり格差が縮小したと感じている。バルパライソとリマでは、回答者の4分の1が、今後格差は縮小すると考えている。

 しかし、調査に寄せられた回答において明らかなことは、回答者の3分の1は、居住している都市において、格差の状況は変わらないだろうと考えており、5分の1の人々だけが、状況が少しは改善されるだろうと考えていることである。

 格差を縮小するためのより効果的な行動として、教育を挙げた人々は、53%であった。

格差は社会的な対立の原因である

 ラテンアメリカでは、格差は、変わる可能性の少ない、日常化したものであるだけではない。誰もが認識しているこの格差というものは、社会的・経済的な対立の原因にもなっており、その対立は、多くの場合、イデオロギー的なものである。

 対立を最も引き起こす関係についての質問では、80%が、経営者と労働者の間に生じる対立を、非常に激しい、または激しい対立であると回答した。ほぼ同じ割合の78%の人々は、貧困層と富裕層の対立を挙げ、76%は、諸政党と市民の間に生じる対立を挙げた。

 この調査を実施した人々は、「ほぼ10人に8人が、諸政党と市民の間の対立を、激しい、または非常に激しいと見なしていることは、憂慮すべきことだ」と考えている。というのは、とりわけこの問題が、二極化を意味しているからである。

 一方、この調査の対象となったラテンアメリカの各都市では、それ以外の地域の都市とは異なり、地域と移民の間に対立があるという回答は、わずか21%であり、人種間の対立については15%、ジェンダー間の対立は13%という、好ましい結果となった。

 これらの回答を「ラティーノバロメトロ2010」の結果と比較すると、人種間の対立は、都市部より、国全体においての方が、より大きいことが、今回の調査でわかった。つまり、「都市部において、非差別的な文化が、より発達している」ということである。

クレジット

 この調査は、その大部分をアビーナ基金の出資により、国連ハビタットが進めたものである。「公平で民主的で持続可能な都市のためのラテンアメリカ・ネットワーク」を構成する各市民団体によって、計画、実施、組織化、および協調融資が行われた。報告書(分析と結果比較)は、グアダラハラ(メキシコ)の市民団体「ハリスコ、コモ・バモス」によって作成された。

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