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NAFTA発効20年のメキシコ

サムエル・オルティス・ベラスケス
Economia Mexicana en Numeros (Rebelion 2014/01/06)

 北米自由貿易協定(NAFTA)は、1994年1月1日に発効した。その後20年で、メキシコの輸出は、国内総生産(GDP)や雇用の伸びよりも、4倍速いペースで増大した。では、輸出の増大が、NAFTAの枠組み内での経済成長の起爆剤とならなかったのはなぜか? 以下にいくつか解説を試みる。

 2000年以降は、特に対米貿易が、統合というよりは、事実上崩壊するプロセスにあった。1993年から2000年の間は、対米貿易は17.7%増加したが、2000年以降は、その増加率は4分の1以下に減少した。このことは、メキシコの貿易における米国のシェアが、2000年の82%から2013年の65%へと、減少したことに表れている。その間、2001年に世界貿易機関(WTO)に加入した中国が、「NAFTAの招かれざる客」となった。というのは、メキシコでも米国でも、中国のシェアが、53の業種で増加し、中国は、メキシコの国内市場および米国市場向けの製品を製造するメキシコ国内の製造業にとって、脅威となったからだ(エンリケ・デュッセル・ピーターズとケビン・ガラガーの説)。

 他方、製造業の対米貿易の構造は、NAFTAによって多様化するどころか、非常に偏った状態のままであった。実際、2000年以降、製造業の輸出の70%以上と輸入の50%以上が、エレクトロニクス、自動車、自動車部品部門のみで占められている。この製造業輸出3部門は、地元メキシコの原材料供給業者との結びつきが非常に弱く、輸入原材料への依存度が高いため、メキシコのサプライチェーンの解体を招いた。その主な理由は、この3部門が、原材料輸入と加工後製品の再輸出について大幅に関税を優遇する、一時輸入制度と密接なかかわりがあることである。(1995年以降の34%を超える)実質的なペソ高も、輸入が増加する誘因となり、メキシコの生産構造に悪影響を及ぼした。

 最も活発な経済活動に、地元企業が参加していないことは、いくつかの指標の動向にも表れている。2000年以降、メキシコの製造業における正規雇用は、9.5%、27万7129件減少した。また、GDP総額における製造業GDPの割合も、2000年以降、20%から17%へと減少した。その結果、非正規雇用と貧困と社会的な排斥は増加した。

 要するに、NAFTA発効から20年後の現在は、事実上、多国籍企業の統合と国内企業の崩壊のプロセスにある。一握りの企業だけが、首尾よくグローバル化の流れに乗ることができた。しかし、グローバリゼーションの輸入構造の本質から見ても、その成功は、国内企業の参加を犠牲にして成り立っている。特に、1995年以降、実質的なペソ高であったことと、2001年、世界貿易の舞台に、中国が突然登場したことによって、この傾向は一層強まった。

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