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フォックス、カルデロン政権下で、メキシコの非識字者数が増加

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写真:オアハカでの識字教育の試験

Proceso 2012/09/07

 ビセンテ・フォックス前大統領と、フェリーペ・カルデロン現大統領による、国民行動党(PAN)政権の間に、メキシコの非識字者数が増加した。非識字者数は、2000年には、574万2000人であったが、2010年には、594万8000人となったことが、メキシコ国立自治大学(UNAM)の調査によって明らかになった。

 この増加は、ごくわずかとは言え、「気がかりな」結果だ。なぜなら、教育分野での努力が、適切な形で実を結んでいないことを、反映しているからだ。UNAMの大学と教育に関する研究所(IISUE)のウゴ・カサノバ・カルディエル氏は、そのように述べた。

 カサノバ氏は、哲学文学部教育学科の大学院課程の、国家と教育ゼミの教授でもある。同氏の意見では、非識字率の高さは、教育の問題であるだけでなく、メキシコの政治と社会が扱うべき問題でもある。それ故、これは、国の政策に含まれるべき「重要な問題のひとつだ」と、同氏は述べた。

 カサノバ氏によれば、メキシコの非識字率の状況は、「悲劇的」である。というのは、メキシコには、15歳以上の非識字者が600万人近くいるからだ。彼らのうち、350万人強が女性で、230万人が男性である。

 また、絶対数で見ると、メキシコには、十数年前よりも多くの非識字者がいる、と同氏は指摘した。

 その指摘によると、非識字者の増加は、わずかずつではあるが、気がかりな徴候である。というのは、数字が増加傾向にあるからだ。非識字者の数は、2000年では574万2000人、2005年では574万7000人であった。しかし2010年には、すでに594万8000人に達している。

 また、同氏の主張では、非識字者の内訳は、この10年間、ほとんど変化がなく、男性40%、女性60%となっている。

 カサノバ氏によると、非識字者の数は、1895年以降、ほとんど変化が見られなかった。1895年には、非識字者数は、850万人程度であった。しかし、その数は、当時のメキシコの全人口の80%にあたっていた。

 現在のメキシコの非識字者数は、600万人弱であるが、これは全人口の7.6%である。メキシコの識字者数は、2000年には、5600万人近くであったが、現在は、約7200万人である。

 そうであっても、カサノバ氏は、問題は憂慮すべきもので、痛ましく腹立たしい現実だ、と述べる。というのは、非識字者が600万人近くいる国は、「教育分野での努力が、適切な形で実を結んでいない」国だからだ。

 9月8日(土)の「国際識字デー」にあたって、カサノバ氏が強く主張することは、非識字者が、女性、先住民、貧困層のような、社会的弱者に偏っていることのほかに、この状況が、貧困自体を生み出すものでもある、ということだ。

 そして、この意味で、メキシコが「均整の取れていない」国であることも強調した。なぜなら、メキシコ社会は不平等な状態にあり、メキシコ市は、各指標において先進国に匹敵するが、その他の州では、「恥ずべき」状態となっているからである。

 メキシコで非識字率が高い割合を示す州は、住民の18.41%が非識字者であるチアパス、次に17.53%のゲレロ、16.92%のオアハカ、12.02%のベラクルスである。

 性別で見ると、メキシコ人のうち、男性6.31%、女性8.89%が非識字者である。しかし、チアパス、ゲレロ、オアハカ、ベラクルスでは、この割合は2倍以上になる、とカサノバ氏は述べた。

世界の中でのメキシコ

 国際社会の中では、メキシコにおける教育の状況は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)によって、優先されるべき問題に分類されている。

 「メキシコは、最貧国の一つであると見なされているわけではない。しかし、このメキシコの教育の問題は、深刻な問題を抱える最貧諸国と共に、リストに載っている」と、カサノバ氏は指摘する。

 識字率に関して、メキシコは、ラテンアメリカの国々の中では「平均的」であると見なされ、チリ、ウルグアイ、アルゼンチン、コロンビアに次ぐとされている。

 カサノバ氏によると、グアテマラの非識字率が最も高く、人口の31.7%である。また、ニカラグア、エルサルバドル、ボリビア、ペルーも、識字率が低い状態である。

 また、同氏によると、世界的には成人5人に1人が、読み書きを習ったことがなく、それらの人々の3分の2が、女性である。また、就学したことがない児童は、7200万人にのぼる。

 ユネスコのデータでは、世界中で7億9300万人が、読み書きができず、それらの人々の大部分にあたる51.8%は、南アジア、西アジアの人々である。また、21.4%は、サハラ砂漠以南のアフリカの人々である。

 こうした状況の中で、カサノバ氏は、この分野における政策を、広範な社会的意義を持って、深めていくことが必要である、と主張している。

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