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麻薬マフィアのおもしろいあだ名

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写真:メキシコを震撼させた「テオのスープ屋」は、自白によると、カセイソーダ液に300体の遺体を溶かした。つまり、彼らの隠語で「スープを作っていた」(Archivo EL UNIVERSAL)

El Universal 2009/06/24

 エドガー・バルデス・ビジャレアル(訳注)は、メキシコの麻薬組織の中でも最も凶悪な組織のひとつ、ベルトラン・レイバ・カルテルの幹部と言われている殺し屋だ。そのあだ名は? 「バービー」

 ご承知の通り、これはマテル社の人形の名前だ。というのは、バルデスは米国で生まれ、金髪で青い目をしているからだ。

 バービーは、組織犯罪の血なまぐさい闇の世界に生きる、大勢の人たちの中のひとりだ。彼らは皆、「ウサギ司令官」や「タリバーン」、「サル」など、風変わりなあだ名をつけられている。

 メキシコを震撼させたのは、「テオのスープ屋」のケースで、この男は、カセイソーダ液に300体の遺体を溶かしたと自白した。つまり、彼らの隠語で「スープを作っていた」のである。

 麻薬密売人のあだ名には、どぎつく恐ろしげなものもあれば、突飛で無邪気なものもある。殺し屋としての地位を表すものもあれば、小学校時代からのあだ名の場合もある。また、「超いかれた奴」のあだ名で知られる麻薬密売人のように、その個人の評判を暗示する場合もある。

 バービーの場合のように、あだ名と、そのあだ名で呼ばれる人物とは、無関係である場合が多い。

 また、ひとりの人物が複数のあだ名を使用する場合が頻繁にあり、警察の捜査を難しくしている。というのは、複数のあだ名によって、密売人の身元の割り出しが困難になるばかりでなく、時には、密告者自身も、密売人をあだ名でしか知らないことがあるからだ。

 警察は、各容疑者のあだ名をできる限り把握しようとしているが、中には「太っちょ」のように、一般の人々の間でも非常にありふれたあだ名があることも指摘している。

 小説「殺し屋たち」の著者オメロ・アリジスは、「バービーのような女性名のあだ名の使用は珍しくなく、その人物がその価値を証明してみせる前は、女性名のあだ名がつくことが多い。あだ名は、二度目の洗礼のようなもの。闇の世界への加入を意味している」と述べた。

 メキシコでは人にあだ名をつける習慣があるため、麻薬密売人のあだ名の中にも、幼少期から使われてきた罪のないあだ名がある。例えば、殺し屋イスラエル・ナバの場合、メキシコ北部で4月に殺害されるまで、生涯「牡蠣(カキ)」というあだ名で知られた。

 刑事小説家のパコ・イグナシオ・タイボ・セグンドは、「牡蠣というあだ名は、理屈では、牡蠣のように口を閉ざす人物のあだ名のはずだが、実際はそうではなかった。彼は、小学生の頃から牡蠣と呼ばれていた。父親が魚を売る露店商だったからだ」と語った。

 メキシコを通過するコカインの大半を生産するコロンビアでも、個性豊かなあだ名をつける長い伝統がある。1999年に死亡した殺し屋マルコ・トゥリオ・モヤは、非常に有能な殺し屋だったため、殺虫剤の名前をとって、バイゴンと呼ばれていた。

 コロンビア人小説家フアン・ホセ・オジョスは、「貧困地域に行って、本名で誰かを探しても、誰も答えられない」と語った。

 メキシコ人のあだ名と同様に、コロンビア人のあだ名の多くも無邪気だ。例えば、コロンビアの麻薬組織メデジン・カルテルのボスであったパブロ・エスコバルの兄ロベルトは、「クマさん」と呼ばれていた。ロベルトが経営していた自転車店の名前だ。

 ゴルフォ・カルテルの刺客集団ロス・セタスの場合は、軍隊式の呼び名が使用される。メンバーには、Zの文字に数字を加えたあだ名が付けられる。Z1からZ10までは、創設時からのメンバーだ。

 Lの文字に数字をつけたあだ名は、ボディーガードや準メンバーを表す。数字が大きいほど、地位が低くなる。

 地位が上がっても、大きな数字を使い続ける場合もあるが、イバン・ベラスケス・カバジェロのように、あだ名を変える場合もある。イバン・ベラスケスは、L50のあだ名を捨て、「タリバーン」の名で知られるようになった。

 1月にオアハカ州で検挙されたアルマンド・サンティアゴ・オロスコが「ウサギ司令官」と呼ばれる理由は、当局も把握していない。

 昨年逮捕されたベルトラン・レイバ・カルテルのリーダーのアルフレド・ベルトラン・レイバは、「エル・モチョモ」と呼ばれていた。メキシコ北東部に生息する毒を持つアリの名前だ。

 大抵の麻薬密売人は、自分のあだ名を気に入っている。

 米国の麻薬取締局(DEA)のベテラン刑事スティーブ・ロバートソンが語ったところによると、麻薬密売人ヒルベルト・オンティベロ通称「もじゃもじゃ頭」は、1989年に投獄された際、そのもじゃもじゃの頭髪に似た人口毛を使用して、他の囚人たちにピンバッヂを作らせ、訪問者に売っていた。

訳注
エドガー・バルデス・ビジャレアルは2010年8月30日に逮捕されている。

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