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自警団は国家崩壊の結果

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写真:ミチョアカン州タンシタロの自警団 (Eduardo Miranda)

ヘスス・カントゥー
Proceso 2013/11/26

 自警団や共同体防犯団が、全国で急速に拡大している。主要なニュースサイトでメキシコについて少し検索しただけでも、少なくとも13の州における自警団・共同体防犯団の出現が報じられている。これは、メキシコの全州の40%以上に相当する。自警団や共同体防犯団が誕生したのは、前世紀末のことだ。しかし、その勢力が拡大し、広く知られるようになったのは、今年に入って、ゲレロ州とミチョアカン州で、激しい衝突が起こってからのことである。

 連邦、州、市レベルの各当局が犯罪を容認していることや、法を順守させる能力に欠けていることから、いくつかの市民のグループは、独自に裁判を行うことにした。法によって統治することをめざし、組織化が行われた。度を越した森林開発や多国籍鉱山企業の弊害、自然保護区の荒廃、組織犯罪による被害などを防止するためだった。なかでも、組織犯罪の被害が最も問題視され、かつ拡大していることは、言うまでもない。

 1995年、ゲレロ州の山中に、最初の共同体防犯団が現れた。強盗や殺人、暴行に抵抗するために、先住民共同体が結成したものだった。2年後、いくつかの共同体防犯団が集まって、共同体司法行政地域調整委員会(CRAC)を結成した。それ以降、CRACは、容疑者の逮捕や逮捕者の更生教育によって、一般の犯罪を取り締まっている。

 今年の1月5日、ゲレロ州住民・団体連合(UPOEG)は、CRACにならって自警団となった。同月31日、ゲレロ州アジュトラ村の住民たちは、犯罪容疑54件についての第1回住民裁判を行った。このことは、全国の注目を集めた。また、言うまでもなくUPOEGは、連邦政府や州政府、とりわけ内務省や人権委員会、州知事の役割を果たすようになった。

 地域の現実を知る人々や住民の証言を集めたCNNメキシコの当時の報道において、文化人類学者でゲレロ州トラチノジャン人権センター創設者のアベル・バレーラは、強い調子で次のように述べた。「この地域は、いつでも何らかの形で反抗したり抵抗したりしてきたため、歴史的に攻撃の対象になってきた。犯罪者に加担してきた地方政界のボス、軍、連邦警察による暴力の背景には、先住民に対する軽蔑がある。この地域は、長い間、痛めつけられながらも抵抗してきた地域なのだ」

 一方、アジュトラ村のマリオ・カンポス神父は、次のように述べている。「これは、逆上でもなければ、魔術でもなく、偶然起こったことでもない。これは、多年にわたる長いプロセスの結果なのだ。村が意識を高める活動を行ったことが、ここに至ることができた主な要因である」

 1カ月前からは、世間の関心はミチョアカン州に集中している。ミチョアカン州では、自警団と犯罪組織との間の衝突は、ほとんど日常的なものになっており、この数日だけでも何十人もの死者が出ている。衝突は、ゲレロ州で衝突の起こっている地域と非常によく似た状況(物質的な貧しさ、公共サービスや必需品の不足、治安の悪さ、政治権力の不在など)の地域において、起こっている。

 また、このことは国中の関心を集め、関連当局は、声明を発表するに至った。なかでも、ヘスス・ムリージョ・カラム連邦検察庁長官は、とりわけ力を込めて断言した。「自警団が今後拡大していくことはない。私がそれを保証するし、法治国家であるメキシコ国家がそれを保証する」

 しかし、明らかに統治不能な状況にあるミチョアカン州においてだけでなく、全国で、いわゆる自警団が倍増したことは、確かなことだ。ニュースサイトで報道された内容を少し検索しただけでも、少なくとも、チアパス、チワワ、メヒコ、ゲレロ、ハリスコ、モレーロス、ミチョアカン、オアハカ、プエブラ、タバスコ、タマウリパス、トラスカラ、ベラクルスの13州において、自警団の活動についての情報がはっきりと報じられている。

 明らかに、これらの自警団の中には、犯罪組織と関係しているものがあり、単に自警団を隠れ蓑にした犯罪組織である場合もある。しかし、多くの自警団は、当局の怠慢に対する市民のいらだちの産物である。これについて、メキシコ人権委員会のラウル・プラセンシア・ビジャヌエバ委員長は、アジュトラ村のいくつかの共同体を訪問した後、次のように述べている。「現在の法的立場から、住民が独自に裁判を行うようになることは、正当化することも認めることもできない。しかし、基本的なことである安全の問題について、社会に他の方法を選ばせないためには、政府がその職務を果たすことが非常に重要である」

 これらの自警団の多くは、貧困と政府の怠慢によって、長いあいだ痛めつけられてきた地域や共同体において、結成されている。また、それらの地域や共同体は、今日、政治権力の不在のために、様々な犯罪グループによる暴力の被害を受けている。多くの自警団では、明らかに資金が不足しており、所有している武器は旧式である。つまり、カンポス神父も指摘するとおり、「自警団の力は、高性能の武器や予算に基づくものではなく、組織化と、奉仕の習慣に基づくもの」なのである。

 自警団の中には、犯罪組織から支援や資金を受けているグループもある。その一方で、ミチョアカン州テパルカテペックの自警団のリーダー、ホセ・マヌエル・ミレレスが言うように、「暴力や暴行、殺人、誘拐、恐喝、告発者の暗殺」にうんざりした社会から自然に発生した、本物の自警団もある。いずれにしても、自警団は、メキシコという国家の崩壊の結果である。

 ミチョアカン州は、この崩壊が最も顕著に現れた例だ。しかし、他の多くの州でも、犯罪と自警団がすでに根を下ろしており、ミチョアカン州と非常に類似した状況になってきている。

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