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麻薬組織の餌食になる移民たち

ホンジュラス人移民の一グループが、メキシコの南端で、米国への入国を計画している。以前に移民の経験がある者も、今回が初めての者もいる。しかし、犯罪組織の手の内にあることは、みな同じである。一方では、マラ・サルバトルチャが、すでにパレンケの縄張りを手にし、他方では、ミチョアカン・ファミリーが、そこで麻薬の運搬人を駆り集めている。その上、当局は怠慢であるか、または共犯である。メキシコの移民警察もまた、より良い将来を求める人々が麻薬組織の餌食になってしまう原因を作っている。

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写真:移民たち。タバスコ州テノシケにて (foto : Noe Zavaleta)

マテオ・トゥリエル
Proceso 2013/09/27

 「じゃあ、払えないやつはどうするんだ?」 26歳のホンジュラス人移民のノエが、若いベリーズ人「ガイド」のエル・キディンに尋ねる。

 そして、ノエは、貨物列車「ラ・ベスティア」のさび色の巨大な車体に視線を向ける。中米の不法移民たちは、メキシコを縦断するために、ラ・ベスティアの屋根の上に乗って旅をするのだ。

 9月2日。8人のホンジュラス人移民たちが、緊張した様子で線路わきに座っている。場所は、チアパス州のパレンケから北に5キロメートル弱のところにあるパカルナという村で、薄板の屋根の家々がひしめき合っている。そこからほんの数歩のところで、警官と鉄道会社の従業員が、貨物を積んだ車両を点検している。

 「この列車のこと、新聞で読んでないのか? 通行料を払えば大丈夫だ。わかるか? だけど、払わずに上に乗ったら、終わりだよ」 エル・キディンは冷淡に警告する。

 エル・キディンは、軽く握手をして移民たちと別れ、線路に沿って歩いて行く。ホンジュラス人ガイドが、その横を歩く。痩せていて巻き毛、20歳は超えていない。エル・シレンシオーソというあだ名で呼ばれている。二人は、犯罪組織マラ・サルバトルチャ(マラ)の最下層に属している。

 レンタ、クォータ、フェリアなどと呼ばれる通行料をマラのガイドの一人に払えば、移民たちに、比較的平穏な列車の旅が保証される。しかし、エル・キディンが冷淡に言い放った「終わりだよ」は、もし移民が金を払わずに乗り込むような命知らずなことをすれば、ガイドによって走っている列車から投げ落とされるか、他の犯罪組織に誘拐されるがまま放っておかれることを意味している。

 ガイドたちとの会話が移民グループにもたらした沈黙を破って、別のホンジュラス人、ルイス・アルフォンソ・アラルコンが、あえて話し出す。「ここのやり方がわかっただろ。やつらはマラだ。だからお前を山刀で切りつけるかもしれない。だけど、エル・キディンはいいやつだ」

 ガイドたちの脅迫は、ルイスがすでに、この移民グループに警告していたことを裏付けた。1年前、マラ・サルバトルチャ(ロサンゼルスやカリフォルニアを本拠とするエルサルバドルの犯罪グループ)は、米国への移民ルートのひとつにおいて最初の「停車場」となっているパレンケを手に入れた。ラ・ベスティアに乗る前に、不法移民たちから100ドルの通行料を徴収している。

 メキシコ人権委員会が2011年2月22日に発表した、メキシコにおける移民の誘拐についての特別報告書によると、誘拐の被害を受けた移民の数は、2010年4月から9月の間で、1万1333人であった。そのうち、67.4%は、メキシコ南東部において発生した。

 「じゃあ、俺みたいな貧乏人は、列車に乗るチャンスがないってことか?」 ノエは心配する。

 「払ってから乗った方がいいってだけのことだ。だけど、払わなかったんだったら、乗るなよ」 ルイスが答える。

 「それじゃ、俺みたいなやつは、どうすればいいんだ?」

 「知らないね」

 ノエは、ラ・ベスティアの危険については知っていた。パレンケに着く前は、ロス・セタスによる誘拐を恐れていた。そのため、列車では、他の移民たちからずっと離れたところにいようと考えていた。集団は、犯罪者たちを呼び寄せる、とノエは言っていた。

 また、軍や警察、鉄道会社の警備員(移民たちに、列車に乗るための「チップ」を要求する)のことも恐れていた。しかし、マラのことは考えていなかった。2009年のノエの前回の旅では、マラはパレンケを支配していなかった。

 ルイスがノエのグループに伝えたところによると、パレンケからタバスコ州のテノシケ、チョンタルパ、ベラクルス州のコアツァコアルコス、メディアス・アグアス、ティエラ・ブランカ、オリサバの各駅を通って、メキシコ市のレチェリア駅に至るまでの間に、移民たちは、平均5回の通行料を、様々な犯罪グループに払わなければならない。

 ホンジュラス移民たちの青ざめた顔を前に、ルイスは、「アリアガ(チアパス州)からパレンケまでは、マラが牛耳っている。コアツァコアルコスでは、エル・パハロに払う。オリサバからは、鉄道会社のオーナーに払う。でも、運が良ければ、1回か2回は通行料を払わないで済む」と説明した。

 この時点では、ルイスは、ホセ・トリニダ・ゴンサーレス・バルガス、通称エル・パハロが、一週間前の8月26日、コアツァコアルコスにおいて、AK47ライフル銃の銃弾を全身に浴びて死亡していたことを、まだ知らなかった。

 ノエのグループ(その大方は金を持っていない)は、それらの通行料を払うだけでは不十分で、そのほかにも、ロス・セタスの襲撃に合わないように祈らなければならないことを知る。ルイスによれば、ロス・セタスは、一人あたり500ドルを徴収する。

恐怖の検問所

 9月1日(日)の朝、ノエはウスマシンタ川を渡った。グアテマラの国境の町ラ・テクニカで出会った旅の仲間3人と共に、メキシコの地に足を踏み入れた。旅の仲間は、パロ、50歳前後、口ひげを蓄え、大きな太鼓腹が陽気な印象を与えている。ハビエル(18歳)、色が浅黒く、背が高くやせている。ルベン(19歳)、ハビエルより小柄。

 ハビエルとルベンは、今回が初めての米国行きだ。控えめにして、パロとノエの経験から学んでいる。メキシコ縦断の旅は、パロが3回目、ノエが5回目である。

 4人はパカルナで、線路から50メートル離れた村の公園の方に神経質そうに視線を走らせながら、豆と米とトルティージャを食べる。

 公園では、何十人ものホンジュラス人が、ベンチで休んでいる。犯罪グループの見張り番たちが、彼らの周囲を回っている。移民たちが「通行料」の支払いを免れないように、監視する役目を負っているのだ。

 チアパス州の小さな村に到着してから、ノエは、他のホンジュラス人たちから遠ざかることを主張し、仲間たちに、知らない人を信用しないように忠告した。ノエによれば、知らない人に、米国に親類がいると明かすことは危険である。というのは、米国に親類がいることで、その移民は、身代金を要求できる、誘拐する価値のある移民になってしまうからだ。

 ノエのグループに、疲れ切って腹を空かせた4人のホンジュラス人が加わった。彼らは、グアテマラの船着場からパレンケまでの130キロメートルを歩いてきた。乗り合いバスの運転手にゆすられるよりは、歩く方が良かったのだ。というのは、運転手たちは、通常、「確実な」運行サービスのために、移民一人あたり300ペソ(約2215円、2013/10/09)を要求するからだ。これらの運転手は、移民の検問所の有無を知らせるために、携帯無線機を使用して仲間内で連絡を取り合っている。同じ距離をメキシコ人が利用する場合は、80ペソ(約590円)である。

 ノエ、パロ、ハビエル、ルベンは、乗り合いバスでやってきた。運が良かった。一人あたり100ペソしか要求しない運転手に出会ったのだ。乗り合いバスでの3時間、軍や地方警察の検問所があるたびに、4人は息を潜めていた。

 連邦警察と移民局の職員だけが、不法移民を取り締まる権限を与えられている。ノエと仲間たちが乗った乗り合いバスは、運よく、昼食の時間にパレンケに近づいた。そのため、移民局の検問所には誰もいなかった。

 移民局が2011年9月に発表した移民に関する文書によると、2010年には14万人の移民がメキシコを通行し、そのうちの95%が中米出身者であった。その文書によれば、当局は、それらの移民の半数以上を取り締まった。

 120万人のホンジュラス人が、国外に居住している。毎年、7万5000人が、米国へ移民することを決意する。これは、1時間に平均8人の割合である。ホンジュラスの経済は、移民たちに支えられている。ホンジュラス中央銀行によると、2012年に移民たちが送った29億6000万ドルの送金は、ホンジュラスの最大の収入源(国内総生産の約15.7%)であった。送金の大部分は、消費財の購入に充てられた。

「エル・パトロン」

 エル・オプティミスタは、パカルナでノエのグループに後から加わった4人の移民のうちの一人だ。エル・オプティミスタは、米国へ6回も旅したと言う。「俺は向こうに残りたいんだけどさ、でも両想いじゃないんだよ。だから向こうは、俺をゴミみたいに放り出す。だから、しょっちゅう国境越えするんだ」と笑う。

 ノエとエル・オプティミスタが、ラ・ベスティアでの経験を語り、場が和む。二人は、食事もせず休みもせずに、どちらがより長く歩き続けたかを張り合ったり、列車の上での勇敢な行為を比べあったりする。それが、グループの残りのメンバーを落ち着かせ、これほど経験豊かな移民と同行すれば、悪いことなど起こるはずがないという思いで、再び意気が上がる。

 エル・オプティミスタは、以前、水を買うために、走っている列車から飛び降りたときのことを語る。水を買った後、同じ列車に戻ってきた。追いついた車両は最後尾の車両だったため、ラ・ベスティアの屋根の上を真ん中の車両まで戻ってくるために1時間かかった。

 ノエは、メキシコの移民局が、米国の麻薬取締局と共に、オリサバの近くで行った取り締まり作戦について語る。当局側は列車を止め、全速力で逃げる移民たちを追いかけるために、何匹もの「ジャガー」(犬)を放った。「その日は270人捕まった」と語る。

 エル・オプティミスタと仲間たちは、パレンケまでの長い道のりの途中で、ルイス・アルフォンソ・アラルコンが腰までぬかるみにはまっているのを見つけた。ルイスは、移民局の職員たちから逃れようとしていたが、その職員たちには、すでに3000ペソを渡してあったのだ。エル・オプティミスタはルイスのことをあざ笑い、「あいつ、泣いてたよ」と言って、笑い転げた。

 ルイスは、移民のルートを行ったり来たりして13年になる。米国では、麻薬組織ミチョアカン・ファミリーのある縄張りのリーダーだと、本人は言う。大げさなようであるが、しかし確かなことがひとつある。ルイスは、パカルナのマラのガイドたち全員をあだ名で知っており、ガイドたちも、ルイスがどこにいるかを完全に把握しているということだ。

 線路の向こうの未舗装道路を、赤いワゴン車が通る。白髪で野球帽をかぶった男が運転している。「見ろよ、エル・パトロンだ」とルイスが言う。ルイスの話では、エル・パトロンは北の国境付近に住んでいる。ジャッカルやコヨーテを狩るための米国の狩猟ライセンスを所持しており、移民たちをリオ・ブラボ川の向こう岸へ渡す組織を統制している。国境警備隊に出くわす危険なしに国境を越えられる時間帯を、密入国斡旋人たちに教えることで、金を稼いでいる。

 ルイスは、米国のバージニア州に電話をかけ、ミチョアカン・ファミリーから仕事の金を受け取る。100ドルは、マラのガイドたちがルイスに教えた銀行の口座番号に送金される。

「運び屋」

 2000年、2歳年上のいとこと共に初めて米国に入国したとき、ノエは13歳だった。ジョージア州アトランタの伯母の家に住んでいたが、就労年齢に達していなかったため、通りでヘロインを売る仕事をした。自分の商品の消費者になってしまい、警察に逮捕された。16歳だった。

 ノエは少年刑務所に収監された。18歳になったとき、ホンジュラスに送還された。今は、刑期中に英語を勉強しておかなかったことを後悔している。

 2006年、再び米国に入国することができた。建設現場で2年間働き、ホンジュラスに帰国することを決めた。しかし、次の2回の試みでは、米国の移民当局に出くわしてしまった。

 2009年の一番最近の試みでは、ノエは、ラ・ベスティアの屋根に乗って、メキシコ南部を問題なく通過した。その後、砂漠の1000キロメートルを走る間の過酷な気温にも耐えた。というのは、列車は太平洋沿岸に沿って、その砂漠の中の「地獄への道」と呼ばれる路線を走るからである。

 疲れ果てて、ソノーラ州の北の国境にたどり着いたとき、ミチョアカン・ファミリーが、休息するための静かな場所に、ノエを連れていった。ノエによれば、それは、すべてが整った家だった。いくつものベッド、冷蔵庫いっぱいの食べ物と飲み物、マリファナ、数台のテレビとテレビゲームがあった。

 一週間の休息の後、ノエと他の移民たちは、「運び屋」をやった。各人が、マリファナ30キログラム入りの厳重に梱包された袋を入れたリュックサックを担ぎ、道中で消費するマリファナ、水が入った1.5リットルのボトル2本、食べ物が少し入った袋を持った。「商品」をぎゅうぎゅう詰めにして、ノエたちは砂漠へ出て行った。容赦なく照りつける太陽の下、6日間歩き続けた。

 事前の話しでは、運び屋たちは米国に入国すると、リュックサックと引き替えに1800ドル受け取るということだった。この金で、彼らは目的の場所まで旅をし、仕事が見つかるまで暮らすことができる。

 しかし、ノエの冒険は、待ち合わせ場所に到着する5時間前に終わった。ノエは、仲間と共に、国境警備隊の職員に捕まった。15カ月間、刑務所に収監され、その後、ホンジュラスに送還された。

「神と共に歩む」

 メキシコに入る前日の8月31日、ノエは私に、その半生を語った。グアテマラのエル・ペテンのジャングルにあるサンタ・エレーナ村のホテルの中だった。

 「ホンジュラスでは悪いことばかりしてた。すごく悪いことをね。今は神の許しを求めている」とノエは認め、「一番ひどい罪、殺人はやってない。神は殺人を絶対許さないよ」と強く言った。

 米国の刑務所で15カ月過ごしてホンジュラスに戻ったとき、ノエは仕事を得られなかった。ホンジュラス中央銀行によると、180万人以上の国民が失業している。公式部門で働いているのは、経済活動人口のわずか50%であり、国民の67%が貧困状態にある。

 ノエは、結婚していて、やはりノエという名の1歳の男の子の父親である。ノエは、妻をとても愛していると打ち明ける。というのは、送金がなくても、1年半ノエを待っていたからだ。「どんな女もそうできるってわけじゃない。」 ノエがいない間、妻と息子は祖母の残り物を食べていた、とノエは語る。

 「20歳ぐらいだと、ちゃんとした考えなんて持ってない。でも今じゃ、子供に対する責任があるから、もっといろいろ考える。それに、通りでの生活には疲れたよ」

 そして、ノエは自分の計画を語る。「米国に入ったら、5000ドルから1万ドルくらいたまるまで働く。それからテグシガルパに戻って、食べ物を売る屋台を開くつもりだ。人生に多くは求めない。ただ、もう少し欲しいだけだ」

 ノエは、今回も運び屋として米国に入るつもりでいる。もし今回も移民局に捕まったら、3年の判決を受ける。

 グアテマラを移動していた間は、その計画の成功を決して疑わなかった。「失敗するかもしれないなんて考えたくない。神と共に歩む。神が俺を守ってくれるし、目的地に連れていってくれる。すべてうまくいくよ」

 ノエは、サンタ・エレーナのホテルで、ホンジュラスを去る前日のことについて語る。その日、友人の父親が訪ねてきて、強盗をしようと誘った。ノエは迷った。友人の父親は、10分間誘い続けた。「でも行かなかった。悪魔が俺を誘ったけど、それに打ち勝ったんだ」と、誇らしげに言う。

 パカルナでは、ポロとエル・オプティミスタは、ノエと同様、前向きな態度をとっている。「神と共に歩む。神がそれを望むなら、みんな向こう側へ行けるさ」

 100ドルの「通行料」を何度も払わなければならないというルイスの説明を、移民たちは誰も受け入れたがらない。誰もそんな金は持っていないのだ。

 しかし、エル・キディンとエル・シレンシオーソに出会ったことは、不法移民たちの、前向きで陽気でさえあった雰囲気を冷たくした。

 「今は昼に乗った方がいい」とルイスは忠告する。夜間、列車は「悪魔のラ・ベスティア」になるからだ。ガイドたちが、目出し帽に全身黒い衣服、ピストルを持って歩き回るのだ。

 「でもガイドのやつら、ホンジュラス人なんだぜ」 エル・オプティミスタが苦しそうに言う。

 「そうなんだよ。貧乏人を下敷きにして金持ちになる。それで人を差別するんだ」 ノエも悲しそうに言う。

 「やつらも下っ端なんだ」 ルイスが説明する。「マラのやつらはガイドたちに、どの移民が乗るか知らせるように言うんだ。もし列車に乗った移民の数が多いことに気づいたら、マラのやつらは、ガイドがごまかしてると疑う。だから、ガイドたちはお前を乗せないよ。それに、リストに名前がなかったら、放り出される。途中で死んだ人たちのニュースが毎日流れてる」

 ルイスは、「たとえマラに誘拐されなくても、メキシコ湾側の路線で北の国境へ着くと、ロス・セタスがまた、300ドルから500ドル徴収する。金がないのは致命的だ」と、ルイスは強く言う。

 絶望で移民たちの顔がこわばる。北の夢、ドル札の夢、そこそこの生活の夢は、マラを前にして消えてなくなる。沈黙が、より一層重くなる。

 「怖いよ」 パロが言う。

 「俺もだ」 ノエもうなずく。

 線路では、村の役人が、マラのメンバーとおしゃべりをしている。

 ホンジュラス移民たちは、過酷な現実を前にして、思いにふける。汗がノエのこめかみを滴り落ちる。国へ戻るという考えが、頭から離れない。しかし、1カ月以上前から妻に1ペソも送っていないという事実が、ノエに付きまとう。ノエの不屈の楽観主義も消え去ってしまう。

 「で、お前たちにいい話がある。わかるだろ?」 ルイスが不意に言う。

 即座に不法移民たちの関心が集まる。エル・オプティミスタと仲間二人は、気を悪くして離れて行く。「金の話は聞きたくない」

 ルイスは、ノエ、パロ、ハビエル、ルベンに、米国かホンジュラスの家族から100ドル借りるように提案する。そして、コアツァコアルコスに着いたら、4人に残りの金を貸すように、ミチョアカン・ファミリーの連絡員に電話をかけると約束する。もちろん、どんなことにも値段がついている。つまり、借金を清算するために、4人はミチョアカン・ファミリーに加わることになる。

 数えきれないほど電話をかけ、パロとルベンは、その金をどうにか手に入れる。ノエとハビエルは、留守番電話につながってしまう。

 ルイスは、ノエに別の取引を提案する。つまり、テキサス州ヒューストンまでのすべての旅費をルイスが負担し、そのかわり、ノエはルイスの「手下」になるのだ。

 ノエは、貧困と犯罪と暴力から脱するために、ホンジュラスから逃げてきた。通りにおける誘惑や「悪魔」も、なんとか克服した。しかし、パレンケで、よく知らない人間の命ずるままに、ミチョアカン・ファミリーの「新兵」になってしまったのである。

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