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大気汚染物質の測定基準を強化

オゾンおよび空中浮遊微粒子濃度についてのメキシコ公式規格(NOM)が改定され、測定基準がより厳しくなる。連邦衛生リスク対策委員会(COFEPRIS)は、メキシコが燃料や工業施設を原因とする危険度の高い汚染物質測定の先駆けとなると発表した。

レベッカ・ヒメネス、ラファエル・モンテス
El Universal 2012/05/08

 大気汚染物質測定基準を強化するため、オゾンおよび空中浮遊微粒子PM10、PM2.5(*1)の測定に関するメキシコ公式規格(NOM)020、025の改定、およびベンゼン、キシレン、トルエン、エチルベンゼンなどの空中有機汚染物質を規制する法令の制定が行われる。

 メキシコ市とメキシコ州のNGOが行った環境汚染に抗議する集会の翌日、COFEPRISは、健康に関する疫学研究管理委員会の委員長で生物学者のロシオ・アラトーレ氏を通じて、今年8月までに専門家グループの協力の下に改定が行われると発表した。

 現在、1立方メートルあたりのPM10は、120マイクログラムまでと規定されているが、より厳しい基準が設けられる予定だ。

 アラトーレ氏は、この改定により、メキシコは燃料や工業施設から排出される空中有機汚染物質測定の先駆けとなると述べた。

 大気汚染物質の90%は自動車、トラック、オートバイから排出されるもので、5-7%が工場と建築工事の掘削によるもの、残りの3%がガソリンスタンド、クリーニング店などから排出されるものだ。

 ビシベルデやビシテカス(*2)に参加したエコロジストたちは、メキシコの汚染物質測定基準はヨーロッパ諸国に遅れを取っていると指摘してきた。

 一方、世界保健機構はさらに厳しい基準を定め、空中浮遊微粒子について、1立方メートルあたりのPM10は、50マイクログラム程度を基準値とした。EU諸国の現状は70-80マイクログラムである。

 ロシオ・アラトーレ氏は、これらのことは、メキシコが(環境問題で)遅れを取っていることの証拠とはならないと述べた。なぜなら、アメリカ合衆国環境保護庁では、1立方メートルあたりのPM10の基準値を150マイクログラムとしており、メキシコでは、120マイクログラムが基準値となっているからだ。

 メキシコ市では約2年前から、オゾンやオキシダントの先駆物質で人体に極めて有害なこれらの汚染物質について、監視が続けられてきたが、今回の法改定によって、その仕事が補完されることになる。

 環境天然資源省のマルタ・デルガード長官は、昨年、メキシコ盆地の大気汚染改善のためのプログラム2011-2012の中で、改定後の汚染物質測定値は、首都圏大気汚染管理システムの報告書に記載されることになると発表した。

 ビシテカスと都市自転車推進サークルの代表アレリ・カレオン氏は、「素晴らしいニュースですが、私たちは実際にはそういった内容の公式な返答はまだ受け取っていません。去年、COFEPRISは私たちに、NOMの改定が『規格化に関する国家プログラム2012』に含まれる予定であると言っていましたが、実現されませんでした。それどころか、私たちはそのプロジェクトチームへの参加を希望していたのに参加させてもらえませんでした。ですから、チームへの参加要請と、NOMの改定についての公式の約束がなされるまで、私たちは(COFEPRISが)きちんと仕事をしてくれるよう抗議運動を続けます」とコメントした。

*1. 大気中に浮遊する粒子状物質のうち、粒径10ミクロン以下のものをPM10、粒径2.5ミクロン以下のものをPM2.5と言う。現在の環境基準値の主流はPM2.5。
*2. ビシベルデはメキシコ州の、ビシテカスはメキシコ市のサイクリング愛好家の市民グループ。車ではなく自転車を使うことで健康と環境を改善することを目指している。

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