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行方不明者対策に消極的なメキシコ

メキシコ国内の行方不明者数は年々増加している

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写真:「国際行方不明者の日」にモンテレイで行われた集会で、行方不明になっている家族のチラシを示す女性。

Diario de Yucatan 2012/08/31

 NGO団体のアムネスティ・インターナショナル(AI)は、昨日、メキシコ政府が強制失踪(*)をなくすことに意欲的ではない、と訴えた。政府が、組織犯罪と対決する治安政策を行うことで、強制失踪は年々増加している。

 アムネスティは、「国際行方不明者の日」にあたり、公式声明の中で、「今日まで政府が取ってきた政策は、全体として、強制失踪を根絶する意欲の欠如を示している。組織犯罪と対決する現在の治安政策によって、メキシコにおける人々の強制失踪が、ますます増加した」と指摘した。

 アムネスティは、この声明を、メキシコ人権保護促進委員会と共に発表し、他の複数の団体と同意見であることを示した。それらの団体は、強制失踪をなくすための、本物の意欲を証明するような、具体的な政策を取ることを、政府に呼びかけている。

 アムネスティの指摘によると、国連の強制的・非自発的失踪に関する作業部会は、最近メキシコを訪問し、様々なNGO団体が、「2006年以降、3000人以上の人々がメキシコで行方不明になっている」と訴えていることを報告した。

 また、メキシコ人権委員会への訴えのあった強制失踪の件数は、ここ数年増加しており、2006年の4件から、2011年には153件に増加した。

 アムネスティは、「国際行方不明者の日」である今日は、「強制失踪に対して依然続いている、無処罰の悪循環を終わらせることを、当局が固く約束するには、いい機会だ。強制失踪のすべての事例が、しかるべく捜査され、その訴訟手続きが、近ごろメキシコ最高裁判所と米州人権裁判所で制定された内容に従って、完全に民事裁判所の管轄内で行われることが、保証されなければならない」と述べている。

 国連の強制失踪に関する委員会は、個々の事例を調査する権限を持っており、アムネスティは、メキシコ政府がそのことを認識するよう要求した。この権限については、「強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約」の中に明記されている。

 また、アムネスティは、一昨日、忘れ去られているメキシコの5200万人の貧困層について訴え、「経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約」の選択議定書を、メキシコが即時に批准することを求めた。

 アムネスティは、メキシコ外務省の向かいに様々な人形を置き、この問題について注意を喚起し、メキシコ政府が「企業家たちの利益に便宜を図る一方で、貧困状態にある市民を無視している」ことを告発した。

* 「強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約」第一部第二条では、強制失踪を以下の通り定義している。
「強制失踪とは、国の機関又は国の許可、支援若しくは黙認を得て行動する個人若しくは集団が、逮捕、拘禁、拉致その他のあらゆる形態の自由のはく奪を行う行為であって、その自由のはく奪を認めず、又はそれによる失踪者の消息若しくは所在を隠蔽することを伴い、かつ、当該失踪者を法律の保護の外に置くものをいう」

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