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メキシコ人博士1万1000人以上が米国に居住

博士号を持つメキシコ人はわずか3万人(Cinvestav)
2国間の状況の違いを浮き彫りにする頭脳流出
頭脳流出の確率が高いのは、より多くの機会がある国外の大学院に通う学生たち

エミール・オリバレス・アロンソ
La Jornada 2013/04/08

 博士号を持つメキシコ人のうち、1万1000人以上が米国に居住している。メキシコ人の博士の人数が合計でわずか3万人程度であることを考えれば、これは憂慮すべき数字であると、国立工科大学高等研究所(Cinvestav)のアルマ・マルドナド博士は警告した。

 マルドナド博士は、この数字には、ヨーロッパやアジアなど、米国以外の地域で専門分野の活動を行う博士たちは含まれていないと述べた。

 メキシコは発展途上国であり、博士課程レベルの教育を受けた人々を一層必要としていることを考えれば、これは憂慮すべき調査結果であると、Cinvestav教育研究所の研究者でもあるマルドナド博士は警告した。

 メキシコが研究開発、科学、テクノロジーに割り当てる費用の額(GDPの0.4%)は、国際的に見れば非常に少額で、そのことからも、この頭脳流出という現象が説明できる。

 Cinvestavの研究報告書によると、毎年約1万1000人のメキシコ人学生が、Cinvestavのソーシャル・モビリティ・プログラムを利用して、国外へ留学している。しかし、国内での機会が不足していることから、そうした学生たちの多くは帰国しない。

 修士や博士課程の研究を続けるためにメキシコの大学生が選ぶ国は、スペイン(文化の類似性や同じ言語圏であることから)、米国(学術分野における重要性と地理的な近さから)、フランス、カナダ、ドイツ、アルゼンチン、イタリア、チリ、オーストラリア、中国、英国である。

 国外へ出るメキシコの学生の専門分野の割合は、工学および科学技術系の学部の卒業生(33%)が最も多く、次いで社会科学系(23%)、人文科学系(10%)、医学系(6%)、自然科学系(2%)、農学系(1%)となっている。

 その一方で、メキシコの大学や大学院で学ぶことを選択する外国人学生は、約7000人である。

 メキシコの大学を選ぶ学生の中で、最も多いのはフランス人で、次いで米国、スペイン、ドイツ、コロンビア、カナダ、オーストラリア、韓国、アルゼンチン、オランダの学生となっている。

 学生や教員の流動性についての専門家であるマルドナド博士の指摘によると、頭脳流出の確率が最も高いのは、国外で博士課程に学んでいる学生たちである。というのは、この水準の教育を受けたメキシコ人学生は、その国にとどまる機会がより多くあるからだ。彼らは個人的、学問的な理由や、研究を進めていくためのより良い条件があることなどの理由から、国外にとどまることになる。

 また、これを頭脳の流動性と呼ぶ人々もいるが、それは、類似した条件の国の人々について言えることだ。メキシコのような国では、頭脳は流出してしまうのであり、それは、2国間の状況の違いを浮き彫りにし、一方の国が他方の国より多くを失うことを意味している。

 発展途上国においては、諸条件が良くないことが非常に不利な要因となっており、学生たちが競争して、自国で先進国と同様の条件の職を見つけることは、先進国においてより、はるかに困難だ。

 マルドナド博士は、メキシコのような国は、博士号を持つ少数の人々が国外に流出しても構わないというような状況にはないと述べた。同博士は、この現象を食い止めるための努力がなされていると述べたが、それはまだ、非常に限定的なものだ。現実の問題は、高学歴の学生を多数輩出しても、彼らに与える職業がわずかしかないことだからである。

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