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ラテンアメリカ、浮上!

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ネストル・マルティネス(Indamislam Press)
Diario CoLatino 2013/01/30

 米国は、歴史のゴミ箱行きになりたくなければ、遅かれ早かれ、願わくはなるべく早く、ラテンアメリカが米国の「裏庭」でいるのをやめたこと、そして、真に民主的な政府の政策の下で、変化の風が古い考え方をすでに運び去り、新しい関係を要求していることを、理解しなければならない。先ごろ閉会したラテンアメリカ・カリブ海諸国共同体(CELAC)の第2回首脳会議は、そのことの重要な証拠である。

 2010年2月23日、メキシコのキンタナロー州プラヤ・デル・カルメン市で開催されたラテンアメリカ・カリブ首脳会議(CALC)において、CELAC設立の合意がなされ、2011年12月2日、3日、ベネズエラのカラカスにおいて、CELACの第1回首脳会議開催が実現した。その主要な目的は、伝統的な帝国主義諸国にすでに襲いかかっている危機を乗り越えるために、EUや、とりわけ米国の監督なしで、ラテンアメリカ諸国間の関係を構築すること、そして、地域内の問題を解決し、経済発展を促進することであった。

ラテンアメリカの経済力

 CELACは、合計人口約5億9000万人、合計面積2000万平方キロメートル以上を有する地域だ。この地域は、スペインによる征服から始まり、イギリスがそれに続き、その後、「米国の裏庭」として略奪されてきたにもかかわらず、現在もなお自然資源が豊富にある。その例が、ブラジル、アルゼンチン、キューバにおける石油の発見で、地域のみならず、世界の発展のためにも極めて重要なものだ。

 ラテンアメリカ経済の推進力は、様々な機関の保護下にある。

 この地域最大の貿易協定もしくは貿易ブロックは、南米南部共同市場(MERCOSUR)とアンデス共同体(CAN)で構成される南米諸国連合(UNASUR)だ。また、ラテンアメリカ統合連合(ALADI)やラテンアメリカ経済機構(SELA)を通して、大陸レベルの経済統合が試みられている。メキシコは、米国やカナダと共に、北米自由貿易協定(NAFTA、スペイン語はTLCAN)に参加している。

 一方、コスタリカ、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、ドミニカ共和国は、米国と締結した米・中米・ドミニカ共和国自由貿易協定(DR-CAFTA)が現在も有効であり、その他に、カリブ共同体(CARICOM)を通してカナダやメキシコと締結した協定もある。

 また、ボリビア、キューバ、エクアドル、ニカラグア、ベネズエラは、米州諸国民ボリーバル同盟(ALBA)として知られる独自のブロックを構成しており、経済に強い影響力を持っている。

 南米にはMERCOSURという有力なブロックが存在している。アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、ベネズエラで構成されており、ボリビア、チリ、コロンビア、エクアドル、ペルーが準加盟国である。また、南米ではボリビア、コロンビア、エクアドル、ペルーがCANを構成しており、近隣諸国は準加盟国となっている。最近では、チリ、コロンビア、メキシコ、ペルーが太平洋同盟に調印した。これは、アジア市場の制覇を目指す加盟国間で、緊密な統合地域を形成するものだ。

 アメリカ大陸の外では、アルゼンチン、ブラジル、メキシコが、この地域からG20(先進・新興20カ国・地域)に参加している。一方、チリ、メキシコ、ペルーは、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の一員である。チリとメキシコは、経済協力開発機構(OECD、スペイン語はOCDE)の加盟国になっている。

政治権力

 ラテンアメリカにおける政治権力の確立は、現実的には、米国とその傀儡寡頭体制が形成する帝国に対する戦いであった。ラテンアメリカの傀儡政権は、資源の略奪を保証しただけでなく、それを承認し、自由と民主主義と国民のための発展への強い願いを、残酷な弾圧で押え込み、武装蜂起を招くことになった。

 帝国は弾圧によって押え込もうとしたが、しかし、ラテンアメリカは自身が進むべき道を選択した。そう選択させるためには、米国が中東に戦争を仕掛けるために、資金や物資、人材をつぎ込んだという事実で十分だった。

 南米を皮切りに、国民自身の意志から生まれた政権が出現している。それらの政権は、米国の従来からの政策とは無関係の改革政策を行っている。その改革には、国民生活の全領域が含まれ、ベネズエラのウゴ・チャベス大統領の統率の下、真の革命を生み出している。

 この政治的な変化の嵐は、ボリビア、エクアドル、チリ、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、ブラジル、ニカラグア、エルサルバドル、パナマ、グアテマラにも到達した。もちろんそれ以前から、ラテンアメリカの解放のプロセスにおいて広範な影響力を持つ力強い政権が、すでに存在していた。それはキューバである。

 この力強い政権の存在により、ラテンアメリカは少しずつ、民主主義的な絆を強めることができている。その絆は、不正のない選挙での勝利において幾度も確認され、民主選挙のための新しい選挙法も制定されている。

 中国、ロシア、イランなどその他の強国との経済的、政治的な連携が拡大し、経済、政治の国際会議における存在感と重みを増している。

 2009年6月28日のホンジュラスにおけるクーデターや、2012年6月22日のパラグアイにおける「合法的」クーデターのような、帝国に後押しされた汚い計略の影はありながらも、ラテンアメリカは、自身の進むべき道を進んでいる。

 これら2回の米国による汚い計略の実行を前にしても、ラテンアメリカは恐れることなく、結束を固め、ホンジュラスを孤立させ、孤立を解除するための真剣な話し合いを行うことができた。パラグアイについては、今も孤立している状態である。

 政権はすでに強固なものとなり、その政治、経済のすべての結果としてCELACが生まれたのだ。

ラテンアメリカ、浮上

 そうしたことから、CELAC第2回首脳会議は、人々の願いが、本物の政府の下で大きく成長し、帝国主義諸国の保護をもはや必要としないことの、明白な証拠となった。

 ラテンアメリカにおける様々な指数は、多少の例外は別として、全体としては良好な値を示している。例えば、力強い経済発展、民主主義制度と安定した政治プロセス、公平な裁判が行われる割合の増加、貧困や非識字、ジェンダーの平等に対する取り組み、自然資源開発の復活などであり、また、国家が政策の手綱を握り、犯罪行為を行った独裁者や軍人を裁判にかけている。

 もちろん、やるべきことは、まだたくさんある。しかし、多国籍企業の勢いは弱まり、今後も、米国に支援されて頑固に定着している帝国の傀儡に対して、さらに戦いは続いていく。

 米国流の民主主義的、政治経済的画一性や基準とは対照的に、ラテンアメリカはCELACによって、政治や国民には多様性があること、そしてその多様性の中に団結があることを認識した。

 同じ大陸の別世界である米国では、この新しいラテンアメリカを、EUが受け入れたように受け入れることからは程遠く、いまだにラテンアメリカを米国の裏庭だと思っている。例えば、昨年12月、オバマ大統領は、ラテンアメリカのイランとの関係を規制しようとする法律に署名した。これは、国民の主権と民族自決を踏みにじるものだ。また、CELAC議長国となることで最大の政治的承認を得たキューバに対し、いまだに経済封鎖を継続している。

 チャベス大統領の健康に関する米国の立場は、まったく嘆かわしいものだ。というのは、それが、米国の帝国主義的野望が死んでいないことと、米国の傀儡たちが米国の考えに迎合するマスコミの支援によって、たくらみを継続する用意があることを示しているからだ。

 CELACのために、米国の古い道具立てである米州機構(OAS、スペイン語はOEA)は、すでにその存在感をなくした。CELACが示したものは、ラテンアメリカが今では、可能な限りすべての分野において新しい関係を要求するという、転換点である。もし北の巨人がそれを認識したくないなら、最も大きな取引(彼らがそれを大きな取引と思うかわからないが)を取り逃がす危険を冒すことになる。

 ラテンアメリカは、力強く、勢いよく、自由に、自立して浮かび上がる。そして、ラテンアメリカの人々は、そのことを誇りに思うべきである。なぜなら、彼らの最も価値ある願いが、彼らの力によって形を取り始め、取り続けていくからだ。

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