e-MEXICO

ホーム > 自然・環境問題 > フラッキング用化学物質が米テキサスの帯水層を汚染

フラッキング用化学物質が米テキサスの帯水層を汚染

米テキサス大学アーリントン校の生化学者からなる研究グループは、テキサス州の採掘場における石油会社のフラッキングを原因とする高濃度のヒ素、メタノール、エタノールを地下水から検出した。

foto
写真:フラッキングで使用される化学物質が、米テキサス州の帯水層で検出された。

ノルベルト・オバンド
Rebelion 2014/11/10 (Denton RC / AAPN)

 テキサス大学アーリントン校の研究グループは、テキサス州北部に散在する井戸水から、健康に被害を及ぼす可能性のある高濃度のヒ素が検出されたとする調査結果を発表した。また、非在来型天然ガスを水圧破砕法(フラッキング)で採掘するときに利用される化学物質も、同時に検出された。

 昨年行われたこの調査は、バーネット・シェール・フィールドにある井戸100カ所を対象としており、そのうちの10カ所は、テキサス州デントン郡にあった。テキサス大学の生化学者11人からなる研究グループは、天然ガス採掘のための掘削が行われている半径1.8マイル(2.88キロメートル)にある井戸の30%で、ヒ素を含む重金属の数値が増加していることを明らかにした。

 テキサス大学のザカライア・ヒルデンブランド博士は、「ヒ素が高濃度で検出されるのは、危険な状態だ。これは、掘削が地下水に悪影響を与えるという明らかな証拠だ」と述べた。研究グループは、今回の水質調査の結果を、以前の調査と比較している。比較対象となった10年前の調査は、バーネット・シェールで非在来型天然ガスを採掘するシェールガス革命が起こる前に行われた調査で、今回とまったく同じ地域で行われた。研究グループは、掘削時やフラッキング時の振動(研究者たちは、この振動を「掘削圧力波」と呼んでいる)が近隣の井戸の配管を揺らし、ヒ素に汚染されたサビが井戸水の上に落ちたと考えている。

 天然ガスや工業用燃料油を販売するテキサス州ウィチタフォールズのテキサス・エネルギー生産者連盟のアレックス・ミルズ代表は、「フラッキングが地面を揺らしたり、井戸のサビをはがしたりするほど激しいものだとは、初めて聞いた」と述べた。

 研究グループは、「その地域の帯水層の最も深い階層での水の化学変化や、ガス田の不十分な漏えい対策」など、フラッキング以外の要因があった可能性も認めている。

 雑誌「エンバイロメンタル・サイエンス・アンド・テクノロジー」に掲載されたこの調査結果によると、「非在来型天然ガスを採掘中の地域におけるヒ素の最高濃度は、採掘していない地域の基準値やこの地域の過去の最高値の約18倍に達している」

 米国環境保護庁は、ヒ素の最大汚染濃度を10ppbまでと定めており、この水準を超えた場合は危険だとみなされる。テキサス大学の研究グループは、井戸90カ所のうち29カ所で、この基準を超えていることを突き止めた。フラッキングに利用する化学物質メタノールとエタノールも、調査した井戸の29%で検出された。

フラッキングの禁止

 賢明なデントン市民は、フラッキングへの拒否を住民投票ではっきりと表明したため、デントン市はフラッキングを禁止したテキサス州で最初の都市となった。デントン市のクリス・ワッツ市長は、12月2日前後からフラッキングは禁止される予定だと述べた。

↑ PAGE TOP

inserted by FC2 system