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2017年メキシコの悪夢

2017年のメキシコ経済の展望は、破滅的だ。急激なインフレが起き、雇用が減る。経済成長率は1%をやっと超える程度にとどまる。さらに、1月20日には、米国でトランプ新政権が発足する。トランプ新大統領は、メキシコに不利な発言を繰り返すが、中でもメキシコ人移民の送金を停止すると言っている。しかし、海外からの送金は、メキシコの外貨の源で、これによってメキシコは、なんとかやってこられたのだ。そして、とどめに、2016年12月の最終週、メキシコ政府は、すでに十分高かったガソリンの値段を、さらに値上げすることを発表し、メキシコ社会に強烈なパンチを食らわせた。

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写真:メキシコ市のガソリンスタンド(Benjamin Flores)

カルロス・アコスタ・コルドバ
Proceso 2016/12/31

 2017年は、メキシコの経済にとって、悲劇的な年となるだろう。メキシコの各家庭にとっては、一層悲劇的だ。メキシコの人々は、2017年の年明け、1年前より53%高い金利と、約20%下落したペソ(現政権発足時と比較すると約60%下落)、3.5%に達しそうなインフレ率(1年前は2.13%だった)の影響に苦しんでいる。

 つまり、個人向けのローンや企業向けの融資など、すべてが値上がりするということだ。工業用・商業用の輸入原料や輸入商品も値上がりする。

 しかし、企業は、高い金利やペソ安(すでに1ドル21ペソまで下がっている)に対応するために、経費の増加分を、商品やサービスに価格転嫁したり、生産を減らしたり(その結果人員も減らされる)することができる。

 また、エコノミストたちによると、インフレ率は4%(メキシコ中銀が決めたインフレ目標の上限)に達し、4%を超えるかもしれず、そのため物価高が起きる。

 そして、とどめに、2017年1月1日からガソリンが値上がりすることが、2016年12月28日に発表された。レギュラーは、1リットル13.98ペソから15.99ペソに、ハイオクは14.81ペソから17.79ペソに、軽油は14.63ペソから17.05ペソになる(1ペソ=5.57円、2017/1/4)。それぞれ、2.01ペソ(14.4%)、2.98ペソ(20.1%)、2.42ペソ(16.5%)の値上げだ。

 しかし、この価格は、メキシコ財務省が発表した上限価格の平均値だ。実際には、エネルギー規制委員会がメキシコ全土を90の地域に分割し(うち、7地域が米国境に接している)、その地域ごとに異なる価格が設定される。値上げ率が最も低い地域では、1.35ペソ(9.7%)の値上げ、高い地域では2.61ペソ(18.7%)の値上げとなる。例えば、ベラクルス州の数市では、レギュラー1リットルあたり15.33ペソだが、プエブラ州の数市では、16.59ペソになる。

(すでに発売中のプロセソ2096号に掲載された報道記事より抜粋)

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