- 飢餓でもうける人々
食料難の状況の下での価格の不安定性
(Carton Club)
ビクトル・ガルシア・アロージョ
rel-uita 2013/02/19 (CSS Solidarios)
銀行や投資ファンドは、取引市場において食料で投機を行い、食料価格に影響を及ぼしている。国連は、食料価格が急騰、急落することで、何百万人もの人々が食料を入手できなくなることを防止するため、市場の監視機関を設置することを提案している。
数日前、ドイツ最大手のドイツ銀行が食料価格での投機を再開したことが、公表された。これは明らかに、数年前からの投機の傾向の一例だ。
多くの投資銀行は、シカゴの取引所へ行き、原料の先物市場に参加したり、数種類の一次産品の価格がどれだけ上昇または下落するかに賭けたりしている。
ドイツ銀行の経営幹部たちは、そうした投機と食料価格上昇の間の直接的な関係は、経験的には証明することができていないという理由で、自らの行為を正当化している。
しかし、欧州議会は意見を異にしており、2010年から2011年の間に食料価格が50％上昇したのは、投機的な動きに原因があるとしている。
世界銀行も同様に、この時期に全世界で新たに4400万人の飢餓人口が生まれたのは、銀行やその他の投資ファンドが、この部門において投機取引を行ったことが原因であると認識している。
ドイツのNGO「ドイツ・アグロ・アクション」は、「食料難の状況の下で、投機が食料価格をより不安定なものにしたことは明らかだ」と、確信をもって主張している。
ここ5年間で、食品への投資は350億ユーロから3000億ユーロへと増加し、食料価格は135％上昇した。
投資家たちは、一次産品価格が上昇することを確信しており、様々な商品を大量に購入して、価格上昇に賭けている。
これらの産品は、実際に投資家たちの手に渡ったわけではないが、市場では備蓄が減少したかのように作用し、それが食料価格の上昇を引き起こしている。
極めて短期間の投機を行うのが、最も一般的であり、それが市場をゆがめる原因になっている。というのは、この絶え間ない価格上昇が、食料バブルを引き起こしているからだ。
国連は、食料価格の急騰や急落を防止するために、市場の監視機関を設けることを提案している。
価格急騰の典型的な例のひとつがトウモロコシの価格で、2010年から2011年の間に価格が94％上昇した。この穀物は、人々の食生活においても、家畜の飼料の材料としても、基本的な食品である。
最も悲惨な例は、この価格の変動によって、所得の80％を食費にあてている人々や家族が、影響を受ける場合だ。
多くの地域、とりわけサハラ砂漠以南のアフリカにおいては、多くの家族が、食べていくために、所有しているわずかな財産を売らざるを得ない。彼らは、そのようにして自らの将来を手放し、その際に意図せずして、大農園を生み出すことに貢献してしまう。大農園を所有する多国籍企業は、自らが使用し、享受するために、広大な土地を買い集めている。
これらの大企業は、アフリカの低コストの大農園で生産し、その生産物を、大豆やヤシ油などの食品と共に欧米諸国に輸出している。食品として食べられる一次産品が、バイオ燃料として利用され、それが食糧不足と価格上昇に拍車をかけている。
従って、これほどもてはやされている「投資」は、少数独占市場を生み出す原因となり、地元の商店に取って代わっている。経済的自由主義と呼ばれるものは、あまりに成長しすぎてしまった。
10年前は、もっぱらディーラーと食料部門の生産者だけが、食料一次産品で投機をすることができた。これは、価格の安定に役立っていた。しかし今日では、誰でも、まるでゲームをするように、これらの商品で取引を始めることができる。これは、仲介業者が勝ち、生産者と消費者が負ける投機だ。
食料グローバル市場は、世界人口の2倍の人数を養うに足る食料を生産している。しかし、10億人が依然として飢餓に苦しみ、毎日4万人が飢餓による衰弱が原因で死亡している。
市場の自由を守ることは、地球上のすべての人々に食料を行き渡らせることを保証するか、少なくともそれを目的とする規制を設けないでいることの、言い訳にはなり得ない。
国連のジャン・ジグレール特別報告官は、食料価格の設定は、取引所ではなく、生産国と消費国が行うことを提案した。なぜなら食料は、公共の財産だからだ。
投機というものは、そもそもうさんくさいものだ。しかし、特に食料での投機は、地球上の多くの地域で、大量破壊兵器のように作用し、メディアによってもみ潰される大量虐殺を引き起こしている。
