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ベネズエラ反政府抗議行動の25の真実

サリーム・ラムラニ
Opera Mundi (Rebelion 2014/02/25)

 選挙によって政権をとることができない急進的な反チャベス派勢力は、2002年と同様、憲法秩序を破壊するために、抗議行動を増大させている。

1. 2013年4月以降、選挙で合法的に選ばれたベネズエラのニコラス・マドゥーロ大統領は、強力な野党勢力と対決している。野党勢力は、米国の支援を受けて、1998年に失った政権を再び取ることを狙っている。

2. 野党勢力は、2013年4月の大統領選挙において、1.59%の差で敗れたため、当初は選挙の結果を否定した。しかし、その選挙結果は、欧州連合や米州機構、カーター・センターなど、最も重要な国際機関によって保証された結果であった。そして、野党勢力は、その怒りを暴力的な行為で示し、チャベス派の11人の命を奪ったのである。

3. しかしながら、当選したニコラス・マドゥーロ大統領と、野党で右派のエンリケ・カプリーレス候補の票差が、僅差であったことで、右派は活気づき、政権奪還の期待で奮い立った。そこで、2013年12月の地方選挙を、戦略目標としたのである。

4. あらゆる予想とは反対に、地方選挙は、チャベス派の政権を信任する国民投票を意味するものとなった。というのは、チャベス派が基礎行政区の76%(256区)を獲得したのに対し、全野党が集まった反チャベス派同盟の民主団結会議(MUD)は、23%(76区)しか獲得できなかったからである。

5. この重大な敗北に士気をくじかれ、民主主義的な手段で政権を奪還する見通しが、再び遠ざかるのを見て(次の選挙は2015年12月の国会議員選挙である)、野党は、ウゴ・チャベス大統領に対するメディアと軍によるクーデターに至った2002年4月のシナリオを、繰り返すことを決定した。

6. 2014年1月以降、野党の急進的な党派が、行動を起こすことを決定した。「人民の意志」党の指導者で、2002年4月のクーデターにも参加したレオポルド・ロペスは、2014年1月2日から、抗議行動の呼びかけを開始した。「われわれは、ベネズエラのみなさんに対して、(…)決起を呼びかける。ベネズエラ国民が「もうたくさんだ」と声を上げることを呼びかける。(…)目的は、"解決策"について議論することだ。何が、この惨状の解決策となるのか?」

7. 2014年2月2日の抗議行動において、レオポルド・ロペスは、すべての悪はマドゥーロ政権に責任があると非難した。「ここ最近の物資不足は、誰のせいか。それは、政府のせいである」

8. 2014年2月2日、野党の大物で、首都カラカスの市長であるアントニオ・レデスマも、変化への呼びかけを開始した。「現在まで15年連続で続いているこの体制は、対立を引き起こしている。今、全ベネズエラの街頭がひとつになる」

9. 野党議員のマリア・コリーナ・マチャドは、"圧政"を終わらせるための呼びかけを開始した。「ベネズエラ国民の答えは"反逆"だ。選挙まであと数年、待つべきだという人たちもいる。子供たちのための食料を入手できない人々は、待つことができるだろうか? 働く権利や所有権を奪われている公務員、農民、商店主は、待つことができるだろうか? ベネズエラは、もう待つことができない」

10. 2014年2月6日、反チャベス派の抗議行動の後、100人あまりの覆面をした学生の集団が、タチラ県の知事公邸を攻撃し、警察官10人が負傷した。

11. 同じ週、反チャベス派の抗議行動が、いくつもの県で相次いで起こり、それらの抗議行動のすべてが、暴力行為で終わった。

12. 2014年12月12日、反チャベス派が検察庁前に大々的に組織した抗議行動は、挑発行為を行うために組織された私立大学の学生たちで、構成されたものであった。この抗議行動は、それまでにないほどの暴力的な事件となり、3人の死亡者、約100人の負傷者と、数えきれないほどの物的損害を出した。

13. 2002年4月のクーデターと同様、3人の死亡者は、頭部に1発の銃弾を受けて死亡した。

14. 3人の中には、チャベス派のフアン・モントーヤと、反チャベス派のバジル・ダ・アコスタと呼ばれる人物が含まれていた。弾丸を調査した結果、二人とも、同じ武器を使用して殺害されたことがわかった。

15. この抗議行動後の数日間で、参加した学生たちは、"インフレと治安の悪さに抗議するために"正式に組織され、カラカスの富裕地区にあるアルタミラ広場に結集した。

16. 数カ月前から、ベネズエラは、反チャベス派が仕掛けた経済戦争に苦しめられている。反チャベス派は、いまだ広範な産業分野を支配しており、物資不足を人為的に作り出したり、生活必需品を買い占めたり、投機的行為を倍増させたりしている。

17. そのような状況の中、2014年2月5日、当局は、タチラ県において、倉庫に隠されていた1000トン近くの必需食料品(米、砂糖、油、コーヒーなど)を押収した。2013年1月以降、当局は、5万トン以上の食料品を押収している。

18. ベネズエラ政府は取り締まりを開始し、買占めや投機を行う人々を処罰することを決定した。2013年11月、政府は、家電製品チェーンのダカに介入し、価格統制を行うことを決定した。ダカは、家電製品に1000%以上の利益を上乗せして販売していたため、ベネズエラの大部分の人々は、購入することができない状態であった。

19. 現在は、企業の売買差益は、30%を上回ることができなくなっている。

20. ニコラス・マドゥーロ大統領は、クーデターの企てを非難し、"ファシズム"と対決することを国民に呼びかけ、「われわれを祖国と民主主義の道から引き離すことは、誰にもできない」と断言した。

21. 米国人外交官3人が、流血の惨事となった抗議行動とかかわっていたため、2014年2月17日、国外退去となった。ベネズエラ政府によると、3人は、抗議行動について連携するため、私立大学の学生たちと会っていた。

22. 2014年2月18日、レオポルド・ロペスは、暴力的な抗議行動における政治的責任を問われて逮捕され、起訴された。

23. オバマ政権は、クーデターを企てた反チャベス派の責任をまったく指摘することなく、ベネズエラ政府の暴力を非難した。それどころか、米国の国務省は、この悲劇的な事件の主要な扇動者であるレオポルド・ロペスを、即時に釈放することを要求した。

24. 西側メディアは、武装した急進的な党派による暴力的な行為(地下鉄や公共建築物における略奪、人民の店メルカル(国民が食料を購入する店である!)の焼き討ち)や、国営テレビのベネソラーナ・デ・テレビシオンが銃撃されたことを、隠蔽した。

25. 西側メディアは、ベネズエラで起こった悲劇的な事件を、厳密な客観性をもって報道するどころか、クーデター主義者の反チャベス派の肩を持ち、選挙で選ばれたニコラス・マドゥーロの民主主義政権を敵視した。また、ためらうことなく世論を操作し、現在の状況を、政府に対する大衆蜂起として報道している。現実には、ボリーバル革命に賛同する非常に大規模な行進が示しているように、マドゥーロ大統領は、大方のベネズエラ国民の非常に広範な支持を得ているのである。


サリーム・ラムラニは、パリ・ソルボンヌ大学のイベリア半島およびラテンアメリカ研究で博士号取得。レユニオン大学助教授。新聞記者でもあり、キューバと米国の外交関係を専門とする。最新の著書は、エドゥアルド・ガレアノが序文を書いた"Cuba. Les medias face au defi de l’impartialite" (2013, Editions Estrella)

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