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モナルカ蝶の大移動

カナダ南部・米国北部から、メキシコのミチョアカン州・メキシコ州にたどり着くまでの、モナルカ蝶(和名オオカバマダラ)の大移動のルートをご紹介します。

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Mexico Desconocido

 モナルカ蝶の一生は、その卵が産みつけられるトウワタの葉の上で始まります。産卵から4-12日で幼虫になり、トウワタの葉を食べながら、羽のある強い成虫になるまで、このトウワタの葉の上で過ごします。

 モナルカ蝶の成虫の寿命は、春と夏に生まれる世代(生涯を米国北部で過ごす世代)の場合、4-5週間です。一方、9月から10月上旬に生まれる世代(冬に成虫になる世代)の場合は、6-7カ月です。

 気温が低下し、日照時間が短くなると、モナルカ蝶は、成虫になるのを約6-7カ月間遅らせ、繁殖活動を休止します。そして、分散して大移動を始めます。米国西部に分布する集団は、カリフォルニアの沿岸部へ向かいます。一方、米国北東部とカナダ南東部に分布する集団は、北米大陸を南下します。

 この移動を行う世代は、渡り世代と呼ばれ、毎年、メキシコのオオカバマダラ生物圏保護区にやってきます。

 モナルカ蝶の大移動のルートは、メキシコ国内では、チワワ州からコアウイラ州を通り、タマウリパス州のヌエボ・ラレドに達する、約500キロメートルに及ぶ広大な帯状の地域から始まります。モナルカ蝶は、この地域を通り、休息するために植物が密生した場所を探して、チワワ州の砂漠地帯やメキシコ中央高原の大部分を縦断します。

 その後、モナルカ蝶は、チワワ州のサンタ・エレーナ峡谷生物保護区、コアウイラ州のマデラス・デル・カルメン生物保護区、クアトロシエネガス生物保護区、ヌエボ・レオン州のチピンケ自然公園、ケレタロ州のシエラ・ゴルダ生物保護区、シマタリオ国立公園などの、メキシコ国内の自然保護区域に達して越冬します。おもしろいことに、モナルカ蝶は、より効率的に移動するために、主に谷間や峡谷を選んで移動します。これは、山間に起こる風を利用するためです。広大な平地を移動することをできる限り避けることで、最小限の労力で大移動が可能になるのです。

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foto: Depositphotos

モナルカ蝶の聖地への大移動

 モナルカ蝶が越冬するためにオオカバマダラ生物圏保護区に到着するのは、10月の終わりの数日間です。モナルカ蝶は、越冬するために、膨大な数の個体が集まって集団を作り、暖かくなる翌年の3月半ばごろまで冬ごもりします。暖かくなると再び成長しはじめ、交尾を行い、その後、アメリカ大陸北部へと戻っていきます。

大移動の繰り返し

 モナルカ蝶は、メキシコを出発して、夏の居場所である米国北部へと大移動するまでの間に、基本的には5世代が生まれ変わります。最後の世代は、9月から10月上旬にかけて孵化すると、新たな渡り世代となって、メキシコへと南下を始めます。このように、モナルカ蝶は世代を重ねながら、移動を繰り返すのです。夏の居場所(北)から越冬するための居場所(南)までの距離は4500キロメートルあるため、一日に120キロメートルもの距離を移動する日もある計算になります。

 モナルカ蝶は、幸運にもメキシコで見られる、自然の驚異です! 絶滅の危機にあるモナルカ蝶を保護するため、OHLメキシコ基金が創設され、2016年から社会投資プログラムのひとつとして、モナルカ蝶の保護活動が開始されました。プロジェクトの対象となったのは、77カ所の遺跡公園です。

 このプロジェクトによって、メキシコのモナルカ蝶は、150万羽増加すると予測されています。6年間で6000万羽の増加を目標としています。

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