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子供だけでの移民が急増

ミゲランヘル・フェレール
Rebelion 2014/06/28

 ひどく痛ましい社会現象が新たに出現したことに、世界は驚き、呆気にとられ、心を痛め、心配している。主にメキシコや中米諸国の子供たちが、子供たちだけで米国へと移民するようになったのだ。「子供たちだけで」というのは、家族や家族の友人などの大人がひとりも付き添わずに、という意味だ。

 もちろん、移民する子供は、いつの時代にもいた。例えばメキシコには、幼少期にメキシコに移民してきた人々が何千人も住んでいる。彼らは、スペイン内戦(1936-1939年)で敗北し、フランコ時代に激しく迫害された人々の子供たちだ。また、1960年代から1980年代にラテンアメリカ諸国を荒廃させた軍事独裁政権から迫害された人々の子供たちもいる。

 そして、もちろん、親や家族や近しい友人に付き添われることなく移民した子供も、いつの時代にもいた。強制的に亡命させられたそれらの子供たちの中には、あの有名な「モレーリアの子供たち」のメンバーもいた。「モレーリアの子供たち」は、親を亡くしてメキシコにやってきた少年少女のグループで、ラサロ・カルデナス政権によってミチョアカン州の州都モレーリアに、戦争孤児として迎えられた。

 しかし、幼少期の移民、まして子供だけでの移民は、世界の長い移民の歴史の中でも、普通のことではなく、特別な異常事態だった。現在起こっていることは、そのような異常事態とは根本的に異なっている。現在移民している何万人もの子供たちは、幼児や少年少女たちで、子供たちだけで移民し、警察に捕まり、軍の基地内の施設に閉じ込められている。この施設は、1939年から1945年までフランスやアフリカ北部にあった、スペイン人難民収容所を思い出させる。

 現在移民している5万~6万人の子供たちは、当然、入国書類を持たずに米国に入国している。しかも、現在は、入国管理と移民法が厳格になり、密入国が物理的に非常に困難になっている。入国書類もなく、比較的危険が少ない方法で国境を超えるために必要な5000ドル前後の金もない。となれば、何が起きるか?

 子供だけでの移民という現象について、もっと情報を集め、徹底的に調査しなければならないが、現時点で言えることは、この現象は今後も増加するということ、そして、どれほど移民政策を強化しても、強制送還しても、この現象を減らすことはできず、まして、なくすことなど決してできないということだ。

 それに、メキシコに送還された人たちは、必ず再入国を試みる。彼らは、密入国と強制送還を何度も繰り返すことによって、より安全で簡単な、苦痛の少ない方法で、米国に入国する方法を学んでいる。このことは、事実が示している。

 しかし、この新しい現象を引き起こしている原因が何かを知ることが、最も重要なことだ。まず考えられる妥当な原因として、貧困がある。しかし、貧困は、いつでもあった。では、チャンスや可能性がないことか? それも、いつものことだ。

 ひょっとして、安全な越境ルートの料金が実質的に値下がりしたからだろうか? ありそうには思えないが、そうかもしれない。冒険の欲求が突然大勢の人々の中に湧き起こったのか? そんなのはばかげた考えだ。最近の経済政策による打撃(といっても40年前から同じ政策だが)によって、予想もしていなかった新たな人口移動が、いま起こったのだろうか?

 この最後の推測が当たっているなら、当該国(米国、メキシコ、中米諸国)の政府が、この新たな現象にどう対処するかが、最重要問題になる。移民新法か、刑務所を増やすか、警備の強化か、警察官の増員か、経済政策の変更か?

 移民新法、刑務所、警備強化、警察官という四つの選択肢が、いずれも、移民そのものを抑制することができないのなら、どうして子供だけでの移民を抑制することができよう? 残る選択肢はひとつ。それ以外の措置はナンセンスだ。

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