- 南米のハイチ人移民
移民政策強化へ
ウールディ・エディソン・ルイドール
ALAI, America Latina en Movimiento 2013/04/12
南米の数カ国では、国境に到達したり、すでに領土内にいるハイチ人移民に対して、移民政策を強化する傾向が強まってきている。
エクアドルからフランス領ギアナ(フランスの海外領土)までの各地で、ハイチ人移民は、国境の閉鎖、国外追放の脅威、移民要件の強化、人道的な危機など、ますます複雑化する困難な状況の数々に直面している。
以下に、南米数カ国における、それらの状況を概観する。
ブラジルにおける人道的危機
現在、ブラジル北東部の、ボリビアとの国境に近いアクレ州ブラジレイア市には、1300-1600人のハイチ人移民が、人道的観点から見て非常に危機的な状況で暮らしている。
その全員が、収容可能人数わずか250人の移民宿泊所に、すし詰めになっている。また、飲用に適した水はなく、空腹に苦しんでいると、アクレ州政府は発表した。
アクレ州人権局は、マスコミに対し、「まったく統制できない状況だ。床にマットレスを置くすき間もない」と述べた。
アクレ州のチオン・ビアナ知事は、アクレ州には、移民に食料を与える予算がないため、先週火曜、非常事態を宣言し、移民対策のための支援を、連邦政府に要請した、と述べた。
一方、エドゥアルド・アルドソ法務相は、昨日の4月11日、ハイチ人移民たちに対応するための作業チームをアクレに派遣することと、移民の状態を正常に戻すよう努力することを約束し、同時に、ブラジルへの不法移民の流入を抑制するために、国境での対策を強化すると警告した。
公式発表によると、2013年1月から4月初めにかけて、2万7000人近くの移民が、ブラジレイア市に到着した。その大部分はハイチ人である。
ペルーのピウラ県(エクアドルとの国境付近)において、ハイチ人数十人を逮捕
一方、ペルー政府は、ハイチ人がエクアドルとの国境を経由して、ペルーに続々と到着していると発表した。実際、ペルー警察のルシアノ・オリボス・ブレサーニ指揮官は、4月8日、ペルーのマスコミに対し、ペルー警察はピウラ県において、この2カ月間で合計73人のハイチ人を拘束したと発表した。
オリボス指揮官は、外国人の多くは、リマへ向かう交通機関の中で拘束されたと述べ、ハイチ人が、ブラジルへ行くための中継地点として、ペルーを利用する経路について指摘した。
また、同指揮官は、「2012年1月25日以降、通常のパスポートを所持しているハイチ国民は、ペルーに入国するために、観光ビザを取得する必要がある」ことを強調した。
これは、ハイチ人のペルー国内への流入に歯止めをかけるために取られた決定である。
エクアドルは、ハイチ人入国時に招待状の提示を要求することを検討
同様に、エクアドル政府は、ハイチ人のエクアドル入国を、現在よりも難しくするために、移民要件を追加する可能性について、検討している。
実際に、エクアドルのラ・オラ紙の3月15日の報道によると、ラファエル・コレア政権は、外務省のウェブサイトにおいて、エクアドルに入国するすべてのハイチ人に対し、エクアドルに居住するエクアドル国民または外国人による、しかるべき公正証書の招待状の提示を要求するというプレスリリースを、すでに発表していた。
3月30日、同紙は、このプレスリリースはエクアドル外務省のウェブサイトから削除された、と報道した。
この件に関するエクアドル政府による説明は、まだ行われていない。
フランス領ギアナ政府は、退去強制の一時停止措置の取りやめを示唆
最後に、フランス、ギアナ、ハイチの様々な移民人権保護団体が4月8日に発表した声明によると、フランス領ギアナ政府は、2013年3月23日以降、ハイチ人移民を拘束し、ハイチへ退去させるために、領土内の行政の拘束施設に収容している。
声明で指摘しているところによると、フランスのマニュエル・バルス内務相は、3月初めのギアナ訪問の間に、ハイチ人移民に対する退去強制の一時停止措置を取りやめるという、政府の決定を通知していた。この一時停止措置は、2010年1月12日にカリブ諸国を襲った地震のあと、ハイチへの連帯の表明として、フランス政府が布告していたものだ。
「この声明に署名している各団体は、(フランス政府の)この新たな姿勢について、懸念している。というのは、ハイチの状況は、いまだ改善していないからだ。我々は、ハイチへの退去強制の完全停止と、フランスの全閣僚による配慮を、引き続き要請していく」と、声明は述べている。