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金髪の少女の物乞いが物議を醸す

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写真:フェイスブックのユーザーが、施しを求めていた金髪の少女の写真を掲載した (Archivo)

El Nuevo Herald 2012-10-28

 交通量が非常に多い交差点で、髪をポニーテールに結った少女が、小銭を無心している。爪は汚れていて、ピンクがかったTシャツは、長い間洗わないまま着ているように見える。写真に写っている姿は、ある一点を除けば、路上でガムを売ったり、金を無心したりする、メキシコの何千人もの貧しい子供たちの姿と変わりはない。その一点とは、少女が金髪だということだ。

 インターネット上で、この写真へのアクセスが集中したことや、当局が素早く対応したことが、メキシコにおいて、人種差別についての議論を再燃させた。メキシコは、混血の遺産を誇りにしている国だ。しかし、この国では、何百万人もの先住民が、貧困状態にあり、道行く人々は、路上で施しを求める褐色の肌の子供たちに、ほとんど注意を払わないことが多い。

 きっかけは、先週、フェイスブックのあるユーザーが、グアダラハラ西部の町の路上で、バックミラーの横に立つ少女の写真を掲載したことだった。そのユーザーは、「少女の両親が、褐色の肌」であったため、少女は誘拐されてきたと疑ったようだ。さらに、そのユーザーは、ハリスコ州の社会保障庁や検察庁とも連絡を取った、と書き込んだ。

 「この写真をシェアしよう」とも書き込んでいる。

 何万人もの人々が、この金髪で緑色の目をした少女の写真をシェアし、何十人もの人々が、少女についてコメントした。その中には、写真掲載に感謝するものや、着想がそもそも人種差別的であると訴えるものなどがあった。

 グアダラハラはハリスコ州の州都である。ハリスコ州検察庁のリノ・ゴンサーレス広報官は、写真が広くシェアされたことは、多くの人々からの、一種の忠告であると思われ、調査が開始された、と述べた。

 また、同広報官は、「少女は誘拐されたのではないかと推測する訴えがあった。犯罪の可能性があったため、行動を起こす必要があった」と述べた。

 当局は、その5歳の少女をすぐに探し出し、グアダラハラの孤児院に送った。そして、23歳の母親を、2日間拘留した。当局によると、母親は、住所と少女の父親について、嘘をついた。最初は、父親は外国人だと話し、次にメキシコ人だと言い、しかし、その二人とは別れていると証言した、ということだ。

 少女の祖母(やはり緑色の目をしている)は、孫娘の出生証明書を提出した。ゴンサーレス広報官は、少女の母親は釈放されたこと、DNA鑑定の結果待ちではあるが、少女が誘拐された証拠はないことを発表した。当局は、児童の搾取で告発する可能性も検討すると述べた。

 この事件は、多くの人々の怒りを招いた。

 「白人の少女だったら、誘拐や子供の人身売買や児童の搾取を心配しなければならないのか。先住民の子供たちや、先住民でなくても、単に褐色の肌をしている子供たちについて、救い出さなければならないから、写真をシェアしようなどということは、まったく見たことがない」と、人権活動家のヤリ・ノリエガ氏は、自身のブログに書き込んだ。

 少女の母親が、政府を告発するかもしれないと、考える人々もいる。ビセンテ・フォックス前大統領時代に、先住民の発展のための委員会の委員であった、ソチトル・ガルベス氏は、当局が、扱いにくい問題に対応するときは、世論に迎合しすぎる傾向がある、と述べた。

 ガルベス氏は、「単に肌の色だけで、少女が実の娘ではないと言うことはできない。人種の上で純血ということはあり得ない。あるのは混血だ。これは、当局の深刻な無知を知らしめるものだ」と主張した。

 また、同氏は、当局はむしろ、メキシコにおける多数の児童労働を減らすことのために働くべきだし、貧しいシングルマザーを支援するプログラムを、もっと作るべきだ、と述べた。

 そして、「やるべきことは、母親を投獄したり、母親から娘を取り上げることではない。問題は、そうした子供たちを助けるために、この国で何をするかだ」とも付け加えた。

 少女が滞在した孤児院のアンパロ・ゴンサーレス・ルナ院長は、母親は貧しく、今回のことが、子供たちの面倒をもっとよく見るよう、励みとなるだろう、と話した。

 「母親にとっては、つらい出来事だった」と、テレビサのチャンネルは報道した。

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