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メキシコの肥満は遺伝子のせい?

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foto: EFE

Siempre! 2012/08/10

 肥満や体重オーバーに悩むメキシコ人は、成人10人に7人と高い割合である。そのため研究者たちは、不適切な食習慣以外にも存在する原因を追究し、メキシコ人の睡眠時間や遺伝的傾向の影響を研究するまでに至っている。

 「私たちは、メキシコ人が肥満になる危険に大きく関与する、数種の遺伝子を発見しました」と、メキシコ国立自治大学(UNAM)研究チーム責任者のサムエル・カニサレス研究員は、EFEに答えて言った。

 国内でも大規模なUNAMの研究室における研究によって明らかになったところでは、メキシコ人やラテンアメリカの人々は、先住民やその混血ではない人々を除いて、体重オーバーや肥満を助長する、高い「遺伝的傾向」を示している。

 カニサレス研究員によると、この発見は、「代謝リスクの別の要因」を識別することに基づいている。この要因は、コレステロールの運搬装置の機能を果たすABCA1を変質させ、動脈をきれいにする役目を持つ「善玉」コレステロール値を減少させる。

 このUNAMの研究は、サルバドール・スビラン国立医学栄養研究所、および国立ゲノム医学研究所と協力して行われた研究である。この研究の出発点となった基本的な考え方は、もしABCA1が正常に機能すれば、炎症抑制や酸化防止の特性を持つHDL粒子(善玉コレステロール)は、正常なレベルで形成されるだろう、というものであった。

 非常に興味深いことは、HDLを形成するために細胞内からコレステロールを取り出す働きをするこの遺伝子(ABCA1)が、どのように、(230番目のアルギニンがシステインへと)アミノ酸の変異を起こしていたかを観察したことであるが、この変異は、先住民の血を引いている人々のみに見られるものであった、とカニサレス研究員は言った。

 この遺伝子変異の原因として、可能性があると思われる仮説の一つは、長期的な環境の影響である。カニサレス研究員は、それが、過去における長期間の絶食や飢餓、高カロリーで炭水化物の多い食生活、または現代生活における運動不足と関係していると考えている。

 しかし、遺伝子変異が、体重オーバーや肥満に由来する諸問題とどのように関わっているか、そしてまた、他の大陸でこの変異が見られるかどうかについても、引き続き研究することが必要である、とも、同研究員は指摘した。というのは、これまでのところ、先住民以外の人々には、この変異の兆候は発見されていないが、変異が存在する可能性も否定できないからである。

 この遺伝的傾向の有無に関わらず確かなことは、メキシコは、成人の肥満者数では米国に次いで第二位、体重オーバーの子供の数では第一位の国だと言うことだ。これは、経済協力開発機構(OECD)の調査によるものである。

 保健省のデータによると、このOECDの調査結果は、成人男女10人につき7人が体重オーバーであり、また、12歳から19歳の若者においては30%以上、5歳から11歳までの子供の場合は29%が体重オーバーであることを表している。

 メキシコ国立自治大学の医学部教授で栄養学を専門とするカロリーナ・エスコバル氏の考えでは、「商業化された」食品や、その他の不適切な食習慣のほかにも、メキシコ人の体重オーバーと肥満について「深刻な」指数が出ることを説明する、他の諸要因が存在する。

 その中でも、エスコバル教授は、ある要因について特に危険であると強調した。というのは、その要因についての知識が欠如しているからであり、また、睡眠不足など、現代の夜型生活が原因で、大人たちだけでなく、子供たちの間にも、その要因が広がっているからである。

 「夜の間に、細胞の修復やエネルギーの蓄積を助けるホルモンや物質が、体内で作られます。これまでに観察されたところによると、睡眠不足のために疲労感を感じている人々は、エネルギー源となる炭水化物が不足しているため、翌日の日中に空腹感を強く感じています」と、エスコバル教授は述べた。

 また、同教授は、健康的な生活を維持するためには、運動が大切であることも付け加えた。メキシコでは何年もの間、学校で体育の授業が行われていないことを指摘し、これによって、現在、若者たちは運動をする習慣がなく、運動を楽しむことができなくなってしまった、と述べた。

 これらすべてのことから、エスコバル教授は、特に子供のいる親たちが子供の生活習慣に気を配ることを勧めた。というのは、食べる物から睡眠時間まで、「すべてが影響する」からであり、特に、街中でタコスやトスターダ、トルタのような、油で調理された食物を食べる習慣がある国では、一層注意しなければならないからである。

 「さらに、私たちの国では、野菜や果物を食べるという文化が、ほとんどありません。メキシコは世界でも主要な果物生産国ですが、果物を食べるという習慣は失われていきました。サラダは、メキシコの食卓には、もはや存在していません」と、エスコバル教授は述べた。

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