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日系メキシコ人政治家ペドロ・クマモトの提案

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写真:ペドロ・クマモト

ホルヘ・ペニャ・ニノミヤ
SDPnoticias 2017/06/03

 ホセ・ペドロ・クマモト・アギラール(27歳)は、1990年1月26日、ハリスコ州グアダラハラで生まれた。グアダラハラの私立大学ITESOで学び、芸術文化マネージメントの学位を取得した。2015年、ハリスコ州議会議員選挙に無所属で立候補し、当選した。全国選挙機関(INE)から支給された選挙費用は1万8500ペソ(約11万6000円)だったが、主にSNSを利用した選挙活動が注目を集め、27万ペソ(訳170万円)の寄付を集めることができた。

 2015年に行われた選挙では、ペドロ・クマモトとマヌエル・クルティエル・カリージョ(無所属で連邦下院議員に当選)が無所属で当選したことが、メキシコ中で大きな話題となった。ペドロ・クマモトとマヌエル・クルティエルは、それ以降、緊密な連携を保ち、共に活動してきた。特に、最近の活動である#SinVotoNoHayDinero(「票を得なければ金もない」を意味)は、非常に強いインパクトを与えている。この活動は、政党交付金の総額の計算方法を変更することを提案している。現在は、有権者登録名簿の人数をもとに、政党交付金の総額を算出しているが、これを、選挙で実際に投票した人の人数をもとに算出するように、変更しようというものだ。その目的は、各政党が、有権者に投票することを呼びかけるという義務を果たし、投票を棄権する有権者をなくすことだ。というのは、過去に行われた選挙では、投票率が30%で、当選した候補者の実質的な支持率が、わずか14-15%だったこともあったからだ。

 #SinVotoNoHayDineroは、法案として、すでに連邦下院議会に提出されたが、制度的革命党(PRI)とPRIに協力する政党の反対によって否決された。しかし、ハリスコ州議会では、ペドロ・クマモトが、州議会にこの法案を提出し、すでに可決されている。これは、大きな前進だ。今後、他の州でも、市民やNGOなどの圧力によって、同様の法案が可決されると見られている。

 新聞記者やテレビの解説者たちは、ペドロ・クマモトが2018年の選挙でどのような選択をするか、様々な見方をしている。多くは、ペドロ・クマモトは、連邦議会議員かハリスコ州知事に立候補すると見ているが、一部には、無所属の大統領候補として出馬するのではないかと、予想する人さえある。しかし、それもよく考えれば、それほど突飛な予想とは思えない。というのは、左派右派を問わず、多数の団体やグループが、ペドロ・クマモトを支持しているし、多くの若者たちも、たとえ支持政党がすでにあっても、ペドロ・クマモトを指示しているからだ。この広範な支持の要因は、新鮮であること、会計の透明性が高いこと、SNSを効果的に活用していることだ。

 メキシコの国民は、政党と汚職と代わり映えのしない政治に、うんざりしながら生きている。そんな時代に、重要な提案を推し進める能力があり、政党とはつながりのない、無所属のペドロ・クマモトが現れた。既存政党は、2018年の選挙で、無所属候補に多数の議席を奪われることになるかどうかの、岐路に立っている。

 2018年には大統領選挙があるが、支持する候補者が明確でないグループが二つある。一つは、クアウテモク・カルデナスが率いる「ポル・メヒコ・オイ」で、メンバーは政治家、学者、作家、研究者など、影響力のある人たちだ。もう一つのグループは、社会学者のアルバレス・イカサを候補者に選んだグループだが、彼ら自身がよくわかっている通り、アルバレス・イカサの政治的意見はすばらしいが、実質的には、大統領選に勝てる見込みはなく、上位3人に食い込むことさえ難しい。この二つのグループをまとめる可能性があるのが、ペドロ・クマモトだ。

 2015年の選挙では、初出馬にもかかわらず、多くの人たちが、ペドロ・クマモトに選挙費用を援助した。その後、ハリスコ州議会で仕事をし、すでに結果も出した。国内外のメディアの注目も集めている。今回は、地元だけでなく、全国からの支援が集まるだろう。ペドロ・クマモトは、市民運動党のエンリケ・アルファロに勝って、ハリスコ州知事になるか、または、連邦議会議員になるかもしれない。いずれにしても、広範な支持を得たペドロ・クマモトの当選は、ほぼ確実と見られている。

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