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狂熱的な改良主義と統治能力の欠如

エドゥアルド・ナバ・エルナンデス
Cambio de Michoacan 2013/08/29

 政府と財務省は、9月8日に税制改革法案を議会に送ることを、すでに発表した。この法案が、エネルギー部門をより一層民間資本に開放しようとする改革と、緊密に結びついていることは、当初から知られている。というのは、現在、石油収益に由来している歳入を、新たな、または、より大きな税金で埋め合わせることが求められるからである。石油収益は、現在は予算の37%までもカバーしているのであるが、今後は多国籍企業数社の収益になってしまうかもしれない。

 しかし、その同日に、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドールが呼びかけている集会が開催される。この集会は、まさに、ペニャ・ニエトのエネルギー改革に反対するためのものであり、この目的で行われる一連の集会の、単に1回目の集会となることは確かである。そして、この抗議活動は、もしその前に、いわゆる教育改革の問題が解決されなければ、教職員調整委員会(CNTE)を支持する教員たちが、教育改革法案を拒絶し続けている運動と、合流することになるだろう。一方、メキシコ電力労組(SME)も、再び活動を活発化している。SMEは、時には、このCNTEと連携したり、また時には、高額の電気料金に抗議する利用者たちの新しい運動と連携したりしながら、フェリーペ・カルデロン時代に行われた中部電力公社(LFC)の解体によって解雇された労働者たちの職場復帰法案を、政府がすぐにも提出することを求めている。

 確かなことは、エネルギーや教育の改革法案と同様に、この税制改革法案も、様々な勢力や社会的な運動による、街頭での活発な反対に直面するということである。また、あるいは、議会において、困難で問題の多い立法過程に直面するかもしれず、そのため、派手に宣伝された「メキシコのための協定」も、法案と一緒に破たんしてしまうかもしれない。というのは、「メキシコのための協定」には、少なくとも現在の形では、民主革命党(PRD)が含まれているからである。

 これらの大統領提出法案がメキシコの社会に引き起こしている、極度に不穏な状況に妨げられることなく、ペニャ・ニエト政府は、依然として、法案を議会で通過させる決意に変わりはないと言われている。また、それだけでなく、ある意味で失敗だった前回の臨時国会の会期中もそうであったように、法案を短期間で可決するために、議会での立法過程を急いで進めようとしているように見える。もしかすると、国際的な取り決めのために、一連のいわゆる構造改革が、強固で後戻りできないものになるように、強化することが求められているからだろうか? 「私は、統治するためにここにいるのではない。国を作り替えるためにここに来たのだ」と、ペニャ・ニエトは言った。問題は、その宣伝活動や発言の中で、国をどのように作り替えたいのか、明確にしていないことだ。

 しかしながら、改革への渇望は、すでに最初の重大な結果を招いている。教師たちが国内10か所で組織した討論会において出された結論や提案を、検討することなく(また、反対派の教師たち自身が語ったところでは、それらの討論会は内務省によって妨害され、内務省は彼らの提案を議会に渡さなかった)、教育改革法の制定を性急に進めたため、前例のないほど大規模な抗議活動を引き起こし、メキシコの首都を未解決のまま麻痺状態に陥れ、抗議活動はさらに大きくなりつつある。臨時国会開催を目前にして明らかなことは、エンリケ・ペニャ・ニエトが、ミゲランヘル・オソリオ・チョング内務大臣を通して(おそらく彼が「もう外に出ても怖くない」と公に宣言したからだろう)、議会に政府報告を送るということだけである。その後、2日(月)には、大統領官邸において、政府報告に伴う演説が行われる。演説は、式典も、諸勢力との対話も、国民の代表の出席もないまま、単に招待された人々と軍部のみを前にして行われる。教師たちの抗議行動は、政府のもくろみに深刻な痛手を与えた。というのは、そのもくろみとは、往年の強く大きな権限を持つ大統領制を復活させることであり、それは一見、制度的革命党(PRI)の政権回帰によって実現しそうであったからである。国会議事堂に出向くこともできず、国民に向けて演説をするために大統領官邸の外に出ることもできない大統領のイメージは、民主主義的な強さや高い支持率を持つ政府のイメージとは、あまり重なるものではない。

 さらに、対立は、国内の様々な地域に及んでおり、複雑なだけではなく、非常に不安定な状況を作り出している。とりわけ、つい先日も、ミチョアカン州やゲレロ州の自警団や共同体防犯団に対して、軍隊や連邦警察が鎮圧作戦を展開したことがあった。その作戦は、犯罪組織に対して展開している作戦よりも、強力なものであった。また、2006年5月にサン・サルバドール・アテンコで起こった出来事を理由として、「土地を守る人民戦線」のロサ・マリア・メディーナが、思いがけず逮捕されるということもあった。もはや疑いはない。PRIは政権に回帰した。単に弾圧的な性質のみならず、この政府が最近行ってきた活動自体の、象徴的で強烈な意味あいと共に、回帰したのである。

 この状況に関して、現在起こっていることが、社会契約の様々な要因によって生じた亀裂だと考えないでいることは、難しいことだ。その社会契約とは、国民に統治を受け入れさせるものであり、統治能力と名付けられているものである。そして危険なことは、その弾圧が、最初はどちらかというと例外的な形で、後には制度的な形になって、政治の空間を占領していくことである。反対派の教師たちに対する弾圧の脅威は、すぐそこまで来ている。そして、この弾圧は、個人的な利害によるものであれ、メディア、主にテレビによってそそのかされたものであれ、様々な部門から求められているのである。この弾圧的な傾向に対して、反対の声を上げたのは、少数のメディアだけであった。左派政党も、進歩主義的な知識人たちも(ロレンソ・メジェルのような特筆すべき例外はあるが)、この傾向に反論しようとはしない。しかしこの傾向は、間違いなく、文字通りの正面衝突へとつながっていくものである。というのは、弾圧によって、教師たちの運動や、現在抗議活動を行っている他の部門を、即座に退却させることはできるだろうが、弾圧は、統治能力の亀裂や、他の経路からの不満の噴出の原因となるばかりだからである。必要なことは、一触即発の政治的・社会的状況を、力で解決しようとするいかなる意図に対しても、はっきりと明確に、反対を表明することである。

 ペニャ・ニエト政府は、国民行動党(PAN)と民主革命党(PRD)の二大政党の後援を獲得するという、表面的な成果と共に始動した。しかしまた、12月1日の弾圧と共にも、始動したのである。この弾圧は、活動家数人と、多数の無関係な人々の投獄を招いた。しかし、メキシコ市内で破壊行為を行った張本人たちは投獄されなかった。この二面性が、ペニャ・ニエト政府の刻印となる運命にあることは、今日では明らかである。マヌエル・バルトレットが指摘したように、「メキシコのための協定」は、立法権の独裁を確立した。それは、表面的には、改革法案を議会に持ち込むための広範な術策を、新政権に与えているようであった。しかし、この立法権の行為は、本来の意味での議会での審議や、とりわけ国民や有権者の意見を排除するものであり、弾圧的な衝動が、大きな社会的・政治的犠牲と共に強いられてしまう状況を、任期開始早々に招いたのである。

 さらに憂慮すべきことは、この統治能力の喪失が、単に認識されているだけではなく、軍関係のいくつかの討論会で、すでに公然と取り上げられていることである。例えば、海軍高等研究センター(CESNAV)が8月27日(火)に開催した「メキシコの国防」というセミナーでは、役人、顧問、軍人らが、麻薬組織や犯罪に対抗するためのカルデロン政府や現政府の戦略を、公然と批判した。そしてまさに、現体制による統治能力の喪失について指摘するに至った。軍部から政治的な特徴づけが行われたり、政治的な性格の公式の見解が発表されたりすることは、深刻で憂慮すべきことである。というのは、軍部は一般的に、市民生活の問題において、軍により広範で決定的な役割を与える意図について、議論するからである。

 改革とは、二つの意味が考えられる概念である。一つ目は、ある事柄について、その性質や本質的な側面を変えることなく、新しい形態を与えることである。二つ目は、ある事柄を、現在の状態とは違ったものとなるように、とりわけ、質的により高く、より良くなるように、再度形成することである。改良主義と改革の精神の違いはそこにある。ペニャ・ニエトとその従順な議会(新たに、今回は力強いが少数の声であるという違いはあるが)の改革法案は、単に形式的な改革であるばかりでなく、諸権利や歴史の観点から見ても、後戻りするものでさえある。この時代遅れの改良主義への支持が、現在の政治的な危機や社会的な騒動の元になっている。メキシコが必要としている改革は、労働者の権利のような、すでに獲得した諸権利を制限する改革ではないし、20世紀の初めに起こったような、メキシコ経済のエネルギー部門を、外国の民間資本に開放する改革でもない。また、社会的な対立を、暴力的な手段で鎮圧することを目指す改革でもない。必要なのは、新しい改革の精神である。それは明らかに、市民社会が強く望み、参加することからのみ生まれるものであって、腐敗と汚職で毒された政治システムからは生まれないものである。

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