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「小規模誘拐」が南の国境で移民を脅かす

アルマンド・ルイス、フディス・ガルシア
El Sol de Mexico 2012/12/06

 メキシコを通過する移民たちは、犯罪組織による「小規模誘拐」の危険にさらされていると、タパチュラ教区移民の家の移民のための聖職者の会の、エイマン・バスケス・メディーナ神父は指摘した。

 バスケス神父の説明によると、この現象は、少なくとも3カ月前から、メキシコ南部の国境付近で発生するようになり、4000ドルから5000ドルの身代金が支払えないために、誘拐された人々の多くは犯罪グループに加わり、その仕事をすることを強要される。その期間は一年間で、その後は解放されると約束される。

 「移民が、犯罪グループの条件を受け入れて、彼らのために働くときには、犯罪グループはたいてい、その移民に、自分たちが案内人として手を貸すことを、他の移民グループに納得させる仕事を任せる。しかし、実際はそうではなく、移民グループを犯罪組織に渡すのだ」

 大規模な誘拐は、犯罪の手口ではなくなったが、現在は「小規模誘拐」、つまり2-3人の移民のグループを誘拐することは続いている。この小規模誘拐は、主にベラクルス州南部で起こっており、麻薬組織ロス・セタスの仕業である。

 「誘拐は、ベラクルス州のメディアス・アグアスや、タバスコ州のテノシケあたりで起こっている。わかっていることは、犯罪グループは、チアパス州のパレンケで、移民たちに道案内すると説得し、タバスコ州に入ると、移民たちに誘拐であることを告げるのだ」と、バスケス神父は説明した。

 この文脈の中で、バスケス神父は、メキシコの移民政策は、中米移民に対して「不公正で差別的」である、と訴えた。

 バスケス神父は、メキシコ人権委員会(CNDH)とチアパス人権委員会による、大規模な活動が不足している、と言う。というのは、それらの委員会は、メキシコを通る人々を守る義務があり、また、その能力もあるからだ。

 同神父の指摘では、すでに移民法があるにもかかわらず、その移民法は、移民たちがメキシコを合法的に通行することを容易にするものではない。なぜなら、法律が求める要件は、移民たちにとっては実現不可能なものだからだ。

 また、同神父によると、この問題を解決するためには、政府と市民社会の間で、共同の取り組みを強化する必要がある。そして、その共同作業には、この社会的な現象に対する解決策を探すための、真の対話があること、市民社会の参加が、見せかけではないこと、そして、市民社会の提案が、しっかりと聞いてもらえることが、求められている。

 「内務省とメキシコ移民局が、政策のために意欲を持つことが重要だ」と、バスケス神父は強調した。

 また、移民擁護で10年の経験を持つバスケス神父は、移民法が現実に機能するように、改正を行うことと、メキシコ移民局に、市民委員会が参加することを要求した。

 タパチュラ教区の慈善宿泊所である移民の家は、日々、30人から50人の移民たちを受け入れている。彼らは主に、グアテマラ、エルサルバドル、ホンデュラス、ニカラグアの出身である。

 「南国境の課題。21世紀の現象」シンポジウムの中で、バスケス神父は、米国方面へ向かう中米移民たちを連れていく密入国斡旋人や案内人が取り立てる金額は、一人あたり6000ドルから7000ドルである、と発表した。

 この意味で、チアパスにおける中米移民への人権侵害の数値は減少してはいるが、まだ解決したとは言えない、とバスケス神父は説明した。

 「移民の家では、移民の権利の侵害が90%減少したというデータがある。しかし、強盗、恐喝、女性への性的暴行などは、まだ発生しており、すべてが解決したことを示すものではない。しかし、かなり減少したことは確かだ」

 マラ・サルバトルチャは、現在、チアパスにはわずかしか存在していない。「イステペックやレチェリアでは、時々、マラ・サルバトルチャと名乗るグループが現れることは認識しているが、しかし、2005年以前と同じ勢力を、もう持っていないことは確かだ」と、バスケス神父は述べた。

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