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メキシコの肥満の原因は清涼飲料ではない?

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写真:清涼飲料水メーカー各社は、メキシコ人の肥満の原因はカロリー過剰ではなく、エネルギーの摂取と消費のバランスが取れていないためだと主張した。 (Cuartoscuro)

スサーナ・ゴンサーレス・G.
La Jornada 2017/07/12

 メキシコ炭酸飲料生産者協会(ANPRAC)は、清涼飲料がメキシコの肥満の原因であるという説を、繰り返し否定している。ANPRACによると、メキシコ人は、一日平均400mlの清涼飲料を飲んでいるが、400mlの清涼飲料のカロリーは、メキシコ人の一日の摂取カロリー3072kcalの5~5.5%に過ぎない。世界保健機関(WHO)が推奨する一日の摂取カロリーは2000kcalで(このカロリーを守っている人は、実際には世界の人口のわずか5%)、メキシコ人は平均で3072kcal摂取しているため、1000kcal以上も上回っている。

 ANPRACによると、メキシコ人の摂取カロリーは、15年前から変わっていないし、食生活も変わっていない。しかし、身体を動かす機会は減り、座っている時間が長くなった。メキシコ地理統計局のデータは、「メキシコの成人人口の56%は、座っている時間が長い生活様式で、身体を動かす活動をまったくしていない」ことを示している。住民数に対する自動車数も、この17年で133%の急激な増加となった。

 また、この10年で、メキシコ人がテレビを見る時間は20%増えた。子供は、「外で遊ぶかわりに、テレビを見るようになった。連邦通信機関(IFT)によると、2014年にメキシコの子供たちがテレビを見ていた時間は、一日に4時間34分で、世界で最も長く、アメリカ小児科学会が推奨する時間よりも、117分長かった」

 ANPRACは、メキシコ人の肥満は、カロリー摂取が過剰であるためではなく、「消費カロリーと摂取カロリーのアンバランス」が原因だと考えている。つまり、摂取したカロリーを、身体を動かす活動で消費していないということだ。

 様々な研究資料を見ても、世界で最もカロリー摂取量の高い10カ国の国民は、肥満度が高いわけではない。ベルギーとオーストリアの国民は、メキシコ人より多くのカロリーを摂取しているが、肥満の割合はメキシコよりも低くなっている。国民一人あたりの一日の摂取カロリーが世界で最も高いオーストリアは、肥満度は111位だ。一方、メキシコは、カロリー摂取は58位だが、肥満度は33位となっている。

 ANPRACは、清涼飲料が健康に害を及ぼしているとは考えにくく、「肥満は、様々な要因がからんで起こることであり、社会と政府と企業が協力して解決していくべき問題だ」と考えている。

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