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リオグランデバレーから密入国する中米移民が増加

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写真:ソノーラ州から見た米国の国境警備隊(Eduardo Miranda)

マテオ・トゥリエル
Proceso 2015/02/27

 人権NGOのWOLAは、昨年12月、米墨国境において移民に関する調査を行い、このたび、その報告書を発表した。報告書によると、この3年間で、米国へ密入国する移民が最も多かった場所は、タマウリパス州のレイノーサからマタモーロスまで(米国側はテキサス州のマッカレンからブラウンズビルまで)の国境地帯だった。この地域は、リオグランデバレーと呼ばれ、ここ数年、米国への入り口となっている。

 2011年以降、治安の悪化や極度の貧困、自然災害、干ばつのために、中米の北部三カ国(ホンジュラス、グアテマラ、エルサルバドル)からの移民が爆発的に増加した。また、昨年初めて、メキシコ以外の国(ほとんどは中米の北部三カ国)からの密入国により、米国の国境警備当局に拘束された人数が、メキシコ出身の拘束者数を越えた。拘束された中米移民の4分の3は、リオグランデバレーで拘束された人々だった。

国境を越えても旅は続く

 報告書では、中米移民にとって、メキシコを通過してテキサスへたどり着くことは、長く苦しい密入国の旅の終わりではないと推測している。というのは、米国で雇用が不足していること、強制送還される可能性が高いこと、米国内の他の地域に家族がいることなどから、密入国者たちは、国境から内陸へと旅を続けなければならないからだ。

 しかし、テキサス州のサン・アントニオやヒューストンなどの大都市へ続く幹線道路には、移民検問所が多数存在する。そこで、移民たちに残された唯一の選択肢は、人の住んでいない農場(平原で、視界を阻む低木がある)を、何度も道に迷いながら、酷暑の中を2-3日かけて歩くことだ。

 従って、米国のリオグランデバレーで死亡する移民の多くは、国境から離れたテキサス州ブルックス郡で発見される。2015年の最初の6週間だけでも、ブルックス郡当局は、脱水症状で死亡した13人の遺体を発見した。

 このルートで移民が多数到着すると、人権団体や宗教団体は、途中の農場に水の入った大きなバケツを設置するなど、率先して移民を支援する。しかし、農場主側は、麻薬密売組織や人身売買組織を恐れているため、時にはこの支援活動に反対することもある。

手薄な監視

 リオグランデバレーから入国する移民が多いのは、中米から距離が近いからだけではなく、カリフォルニア州サン・ティエゴ、アリゾナ州ツーソン、テキサス州エル・パソなどの既存の国境越えルートよりも、国境警備隊員の数が少ないからでもある。

 しかし、WOLAの報告書にもあるとおり、米国の国境警備隊は、赤外線サーモグラフィ・カメラ、無線操縦無人機、レーダー、X線スキャナー、放射線検出器、さらには200キロメートル先の人間まで検知できるヘリウムガスの気球などのハイテク装備のおかげで、この地域での不法入国者の69%を検挙していると発表している。

 実際、昨年10月から今年1月までの間に米国の国境警備隊によって拘束された、保護者が同伴していない未成年の移民は、1万123人だった。前年の同時期よりも、39%減少している。

 移民ルートを通る保護者同伴ではない未成年の移民や家族での移民の数は、最多であった昨年6月よりも減少したが、テキサス州南部の移民当局は、「1月以降、移民と斡旋人が密入国ルートの取り決めをしたら、新たな移民が急激に増加することも予想される」と、WOLAに回答している。

 "米国の役人たちの要請で"移民法が強化されたことを受け、メキシコ政府は2014年、メキシコ国内にいた中米出身の不法移民10万4269人を自国に送還した。2013年と比べて2万7000人の増加だった。

 WOLAによると、ペニャ・ニエト政権は、しばしば正当化できないような行動をとっている。というのは、「メキシコ政府は、メキシコの法律に従えば、保護施設や人道支援を要請する正当な理由のある中米移民の子供や家族を、何千人も送還した」からだ。

強制送還に伴う危険

 米国の移民当局は、12月15日、移民家族のための新しい移民収容センターを、テキサス州ディリーに開設した。民間企業が運営するこのセンターは、2400人もの移民を収容することが可能だ。

 米国の国土安全保障省長官は、これについて、「2014年1月1日以降に米国に不法に入国した移民たちは、優先的に送還されるようになった」と述べた。つまり、ディリーのセンターの開設は、中米や他の地域から移民しようと考えている人々にとって、「今後はたとえ子供を同伴していても、拘留され、米国から即刻送還される」という、明白な意思表示だ。

 しかし、この措置は、特に中米からの不法移民に対してのみ、実施されている。というのは、米国当局は、不法入国したメキシコ人の子供たちや家族には、異なった対応をしているからだ。「メキシコ人に対する送還手続きにはあまり時間を割かず、多くの場合は、保護が必要かどうかを決定するための非常に簡単なチェックを行うだけで、すぐに送還されている」

 密入国の途中で拘留されたメキシコ人は、夜であってもほとんど即座に、最も近いメキシコの領土に送還される。2014年、暴力犯罪が多発したタマウリパス州北部では、送還された移民たちが犯罪組織の「カモ」になった。というのは、彼らが持っている米国のロゴマーク入りのビニール袋が、移民を簡単に見分ける目印となっていたからだ。

 2014年、タマウリパス州に送還されたメキシコ人移民は7万人以上に達し、バハ・カリフォルニア州に送還されたメキシコ人移民よりも1万人近く多かった。

 WOLAの報告書は、「送還されたメキシコ人移民や、米国へ向かう途上の中米人移民にとって、誘拐が依然として深刻な問題だ。マタモーロスやレイノーサは、誘拐が多発する地域として有名で、特にレイノーサは、深刻な状況にある。移民たちの多くは、米国に家族がいて、誘拐すれば身代金をとることができることを、犯罪組織は知っているのだ」と指摘している。

 タマウリパス州では、送還されたメキシコ人は、出身地へ戻るために、法律上は、メキシコ移民庁の支援を受けることができるようになっているが、実際には、受け付けてもらうまでに何時間も待たされたり、支援を提供するはずの移民庁の職員が事務所にいないことさえあったりする。つまり、送還された移民たちは、ここで再び犯罪組織の脅威にさらされる。

 タマウリパス州に送還されてくるのは、不法入国の途中で拘束されたメキシコ人だけではない。WOLAの調査グループは、一部の不法移民が、米国の刑務所で長い刑期を過ごした後に、タマウリパス州の国境から送還されてくることがあると述べている。それらの移民たちは、メキシコに送還されてくると、「地元のコミュニティや、場合によっては家族の中でも、刑務所帰りの烙印を押されてしまい、そのことから、犯罪グループに勧誘される確率が高くなる。特にマタモーロスでその確率が高い」

 報告書によると、タマウリパス州では、犯罪組織に誘拐された後「救出」された中米移民は、たいていは移民庁の保護下に置かれ、出身国に送還される。しかし、メキシコ人移民の場合は、出身地へ戻るように、ただ単に放り出される。そのため、再び誘拐されてしまうケースが増加している。

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