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米州人権委、閉鎖された移民の家の再開を呼びかける

米州人権委員会は、外国人への執拗な攻撃を受けて閉鎖した移民宿泊所の再開のため、対策をとることを呼びかけた。

Voz de America 2012/08/03

 レチェリアは、メキシコを南から北へ縦断する列車の、停留所の一つだ。列車の屋根は、米国への入国を試みる大勢の移民たちで、日々あふれている。メキシコ州のトゥルティトランにあるこの場所には、以前、移民の家「サン・フアン・ディエゴ」があり、北へ向かう途上にある人々を受け入れ、人道的な支援を行っていた。

 この移民宿泊所は、現在閉鎖されている。米州人権委員会(CIDH)が受け取り、正式に発表した調査報告によると、今年7月7日、宿泊所周辺で数件の暴動が起き、その他にも、移民や宿泊所の職員たちに対する執拗な攻撃や脅迫行為が報告されている。

 こうした問題が発生しているため、地域住民たちは宿泊所の閉鎖を求め、また、移民たちを受け入れるために、インデペンデンシア橋の下に仮設テントを設置することも要請した、ということである。

 これを受けて、CIDHは、「宿泊所に勤務する移民支援者たちが、安全な環境で仕事を行うことを保証するために、必要な措置をとる」ことを、メキシコ州当局に呼びかけた。

 「米州人権委員会は、移民の家「サン・フアン・ディエゴ」が行っている仕事の重要性を認識している。この宿泊所を再開できるように、州は必要とされる安全な環境を保証しなければならない」と、CIDHの移民人権調査委員会の委員で、報告担当者のフェリーペ・ゴンサーレス氏は述べた。

 メキシコを通って米国へ密入国する人々の道のりは危険で、多くの人々が途中で命を落とす。彼らは、飢え、暑さ、雨、列車にひかれる危険と戦わなければならないだけでなく、組織犯罪や恐喝、誘拐、人種差別にも立ち向かわなければならない。

 メキシコ国内で運営されている各宿泊所には、しばしば、強盗や殺人、性的暴行を目撃した移民たちが到着する。

 こうした旅の途中で、宿泊所は、アメリカ大陸の様々な国から米国を目指す大勢の人々に、食事や眠る場所、道中にある様々な脅威から避難する場所を提供している。

 移民人権調査委員会の調査団は、昨年メキシコを訪問し、移民宿泊所の活動について、このような認識を持った。「(移民宿泊所の)職員たちや各組織は、何年もの間、州が関与してこなかった分野で、非常に重要な社会的役割を果たしている」と、調査団は述べた。

 CIDHは、移民支援者たちの仕事を、地域のための「重要な」意義のある仕事と見なした。また、移民支援者たちを、「その活動への報復として行われる深刻かつ多様な攻撃に苦しんでいることから判断し、特別危険な状態にさらされている人々」と位置づけている。

 「当局があらゆる政策を実行することが、絶対に必要だ。その政策というのは、あらゆる形の人種差別や外国人に対する偏見を予防し、それと戦うために必要な政策であり、また、メキシコ州の住民とそこを通過する移民たちとの間の理解を促進するために必要な政策である」と、フェリーペ・ゴンサーレス調査委員は述べた。

 その間、レチェリアで下車した移民たちは、仮設テントで眠ることになる。テントは、列車が止まる駅から徒歩45分のインデペンデンシア橋の下にある。この場所は、移民たちにとっては単なる一停車駅に過ぎず、目的地に到着したければ、そこからまだ1000キロメートル以上も旅しなければならないのである。

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