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メキシコ湾・カリブ海(1/4) 概要

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La Jornada Ecologica 2015/02/03

 持続可能な海の利用は、国際社会の緊急の課題の中でも、とりわけ重要です。様々な討論会において、海や沿岸地域の資源利用のために、国際社会が共に努力することの必要性が、取り上げられています。海と沿岸地域は、漁業や観光だけでなく、居住、港湾、発電所、化石燃料の採掘・貯蔵・移送、農畜産物の生産など、様々な活動を行う場所としても、非常に重要です。また、多数の国民の食料と雇用を支えることができる、膨大な資源の源でもあります。無数の種の生息と保存に大きな役割を果たしていることも、軽視できません。しかし、その有益な役割は、汚染や気候変動の悪影響を受け、ひどい場合には、すでに失われてしまっています。

 これらすべてのことは、メキシコ湾・カリブ海のメキシコ領海とその沿岸においては、非常に重要な問題です。メキシコ湾は、メキシコ、米国、キューバが共有している海で、その沿岸は、石油・石油化学産業にとって重要な拠点ですが、同時に、漁業や商業、その他さまざまな活動と関わりのある地域でもあります。また、多数の大都市、小都市も存在しています。

 カリブ海のメキシコ領海は、言うまでもなく、世界の観光客を引きつける非常に重要な地域です。カンクンとリビエラ・マヤ地方が獲得する外貨は、観光による外貨収入の40%近くに達しています。しかし、それだけでなく、この地域には、オーストラリアの世界最大のサンゴ礁、グレート・バリア・リーフに続く面積を誇る、巨大なサンゴ礁が広がっています。景色も、比類のないほどの美しさです。

 地球の海には、無数の生物が生きています。膨大な数にのぼるそれらの生物を守るため、国連加盟諸国は、近ごろ、各国の領海の外にある海の生物を保護し、持続可能な方法で利用するために、「拘束力のある」条約を結ぶことを取り決めました。

 この条約は、各国の海岸線から200海里以上の海が対象になります。現在、200海里以上の海は、西部開拓時代のような完全な無秩序状態で、海洋生物資源を利用したいと考える国や企業が、好き勝手に振る舞っています。

 従って、海洋生物保護についての国際条約の締結は、国連にとって緊急の課題です。

 というのは、民間企業が新たな海洋遺伝資源の特許を取得し、その資源を独占・占有することを、この条約の締結によって防止することができるからです。また、この条約で「保護海域」を設定し、環境影響評価についての基準を定め、海洋技術移転を規制するしくみを確立することも必要です。

 本誌では、専門家のグループが、メキシコ湾・カリブ海のメキシコ領海の自然資源に関する最重要問題を分析しています。

 彼ら専門家は、この地域に関する知識を深め、住民のための長期的かつ適正な資源利用を目指す政策の確立が必要だと繰り返しています。

 それらの目的を実現するための手段の一つとして、メキシコ湾・カリブ海に面したメキシコ6州および米国、キューバの高等教育機関や研究機関など、複数の学術機関が連携するメキシコ湾・カリブ海海洋研究機関連合(CIIMAR-GOMC)があります。本誌では、この研究機関の取り組みと成果を取り上げています。

 今回の調査活動を取りまとめてくださったポルフィリオ・アルバレス=トーレス博士と執筆者各位に、感謝の意を捧げます。

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