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州知事という名の封建君主たち

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写真:左から、ファウスト・バジェホ元ミチョアカン州知事、トマス・ジャリントン元タマウリパス州知事、ホルヘ・トレス元コアウイラ州知事 (Octavio Gomez / Miguel Dimayuga)

ホセ・ヒル・オルモス
Proceso 2017/04/19

 ビセンテ・フォックス政権が、メキシコで待ち望まれていた民主化に失敗すると、メキシコの政治権力に空白ができた。その空白は、麻薬組織、大手テレビ局、州知事という、三つの集団で埋められた。なかでも州知事たちは、あっという間に、封建君主のように君臨しはじめた。

 麻薬組織、テレビ局、州知事。これらの三つの権力集団は、地盤を固め、勢力を伸ばし、直近の三つの政権(ビセンテ・フォックス、フェリーペ・カルデロン、エンリケ・ペニャ・ニエト)の決定を左右するようになった。

 麻薬組織の場合、最も顕著な例であるミチョアカン州とゲレロ州では、麻薬組織と支配層が融合して、麻薬組織が治める州のようになった。一方、大手テレビ局は影響力を拡大し、2012年にはエンリケ・ペニャ・ニエトを大統領に当選させ、テレビ局が支配する政治(テレクラシアまたはメディオクラシア)を確立した。

 州知事については、政党やイデオロギーの区別なしに、ほぼすべての州知事が、副王か封建君主のように権力を振い、自らの意向や個人的利益を優先させ、図々しくも公金を両手いっぱいにつかんで着服した。

 州内での州知事の権力は強大だ。州知事たちは、その権力を極限まで乱用して厚かましく私腹を肥やし、人民の代表の座を、公金を入れたレジであるかのように利用し、執務室を、あらゆるものを盗むための作戦本部として利用した。

 州知事たちは、制限なしの権力を持ったことで、白昼堂々犯罪を行うようになった。諮問機関インテグラリア(ルイス・カルロス・ウガルデ理事長=連邦選挙機関IFE元理事長)の調査によると、過去15年間で14人の元州知事たちが、国内外で取り調べを受けた。うち、半数は横領、4分の1は資金洗浄、4分の1は犯罪行為への加担、5.8%が恐喝の容疑だった。14人のうち、刑務所に収監されたのは、わずか5人だった。

 本誌最新号(2111号)に掲載された、より広範な調査によると、麻薬組織とのつながり、職権乱用、汚職のスキャンダルの渦中にいる元州知事は、PRI(制度的革命党)所属の元州知事だけでも21人だった。PRI以外では、PAN(国民行動党)所属のギジェルモ・パドレス元ソノーラ州知事、ルイス・アルマンド・レイノーサ・フェマット元アグアスカリエンテス州知事などが、最も大きなスキャンダルとなっている。

 州知事の大部分が、その所属政党にかかわらず汚職を行っている事実は、メキシコの政治システムが腐敗していることを表している。汚職を燃料として機能する政治システムは、2000年以前は、PRIの専売特許だと思われていた。

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