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左翼のマチスモ(後半)

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ダニーロ・カステリ
Anfibia (Rebelion 2017/08/03)

左翼のマチスタ(*)とは何か? 右翼のマチスタよりもマチスモ度が低いのか? ここでは、理屈はこねても、女性への差別については右翼男性と変わらないという、左翼男性のマチスタぶりについて分析する。

左翼男性のマチスタ的行動および思考回路を、以下に挙げる。中には、私も当てはまるものがある。

どんなときに、左翼のマチスタだと感じるか?(後半)

女性やLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの頭文字をとった言葉)の人たちの実際の経験談よりも、ジェンダーや性的多様性についての机上の意見を、より高く評価するとき。

フェミニズムについて具体的に研究したくないあまり、懐疑論者になるとき。「革命理論はすでに構築されているのに、この上何の研究が必要なのか? マルクス、レーニン、バクーニンなどが、人類の解放について、言うべきことをすべて言ったというのに?」

女性やLGBTなど差別される人々の立場にたって考えてみようともせず、彼らの要求を「大げさだ」と笑いものにするとき。例えば、ゲイのカップルが人前で愛情を示す行動を自由にとれないことや、街中でのストリート・ハラスメントなどは、「労働者の要求」ではないため、あまり重要ではないと考えている。

ストリート・ハラスメントのケースについて、非難すべきかどうかを、被害者と加害者の社会階級を見てから決めるとき。もしそれが、労働者階級の男性による「中産階級」の女性へのストリート・ハラスメントであれば、マチスモによる暴力ではなく、階級闘争のひとつだとでも言うように。

マチスモに対する過激な批判意見を聞いて、不快感を示し、敵対的になり、個人攻撃されたかのように感じ、「何世紀にもわたる女性への差別は、私がやったことではない」などと言うとき。

フェミニズムについての私の意見すべてが、「右翼的でなく、かつ言質を取られないように」考えられたものであるとき。

自分には、性とジェンダーの問題について、無知でパラノイア的で偏見のある意見を述べる権利があるとばかりに、批判されている内容について、勉強も調査も質問もせずに話し出すとき。

私が過去に述べてきた意見が正しいことを示すために、第三波フェミニズムなどいくつかの用語について、最低限必要なことだけを調べ、博識を装って発言するとき。

左翼組織の中にもマチスタは存在するという「真実」を指摘する理由が、マチスモをなくすためではなく、同志たちのマチスモを正当化するためであるとき。「左翼の組織のメンバーといえども、家父長的な資本主義社会からやってきたのだから。しかし、現在は、その社会と戦っている。」

「革命後、対処しよう」と言うとき。

殺人事件は重大視するが、女性やLGBTに対する暴力は重大視しない態度について、「間違っている。教育が必要だ」などと、進歩的な立場から説教をはじめるとき。しかし、結局私は、傷つけられた側の無力感や悲しみを生きる当事者ではないのだ。

男性の大部分を占めるマチスタの頑なさよりも、フェミニストの意見の伝え方が悪いことの方を、より強く批判するとき。ところで、マチスタの頑なさは、単なる「無知」の産物ではなく、特権の結果でもある。

女性やLGBTへの一定枠の割り当てなどのアファーマティブ・アクション(積極的差別)に腹を立て、適任、努力、能力主義などの非ブルジョア的(だと私が思う)論拠によって、それを否定するとき。

男性としての特権を享受できる快適さを手放したくないあまり、「政治の場に女性が増えたとしても、それで労働者女性の状況が改善されるわけではない」などと言って、ジェンダー・クォータ制に反対の立場をとるとき。

男性が入ることができない、女性だけのための空間について、「男性だという理由で差別された」と文句を言うが、なぜそのような空間を設けなければならないのかについては、考えようとしないとき。

「女性解放か、階級闘争か」という質問を突きつけて、最終的な決断を迫るとき。

個人と社会の変革のための、フェミニズム理論・実践の研究などというものは、「経済的余裕のある中産階級」の人たちのやることだ、と発言するとき。それなら、労働者階級でマチスモが顕著であることは、民衆の革命的な側面だとでもいうのか。それとも、家族やパートナーによる暴力まで考えていては、大義のための活動に必要なエネルギーが不足するとでもいうのか。

わが身を省みなければならないような事態を避けるために、博識をひけらかしながら理屈をこねるとき。

これらのことは、誰もが知っていることだ。大勢の女性たち、ゲイやトランスジェンダーの人たちが、これらのことを実際に経験してきている。結局、左翼のマチスタは、右翼のマチスタにそっくりだ。これほど似ているものはない。

* マチスタは「男性優位主義者」、マチスモはその主義。共にスペイン語。

「左翼のマチスモ(前半)」はこちら

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