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メキシコは貧困増加。他の中南米諸国と対照的

フリオ・ボルトビニク博士は、ブラジルの貧困率が、CEPALの発表で20.9%であるのに対し、メキシコの貧困率は、最新のデータで36.3%であり、対照的である、と指摘した。ブラジルは15年前、メキシコよりはるかに貧しかった。

Grupo Formula 2012/11/28

 メキシコ大学院大学の研究者であるフリオ・ボルトビニク博士によると、残念なことに、メキシコの貧困との戦いの傾向は、ラテンアメリカ諸国全体と同じ方向には向かっていない。最近、ラテンアメリカでは、貧困指数の減少が報告された。

 経済を専門とするボルトビニク博士は、国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(CEPAL)が貧困について発表したデータに触れた。発表によると、今年、ラテンアメリカでは、貧困が減少することが予測されている。つまり、極貧状態で生活している人々の数は1億6700万人で、住民の28.8%にあたり、2011年より100万人減ることを示している。

 しかし、この予測の中に、メキシコは含まれていないと、ボルトビニク博士は言う。なぜなら、CEPALによって行われた貧困調査は、2011年のデータを使用しており、メキシコでは、貧困調査は、偶数年、つまり今年、行われるからだ。従って、今年の分は、不完全な数値しか存在していない。

 いずれにしても、メキシコについての情報は、仮の予測であるが、貧困との戦いというテーマについて、ラテンアメリカの状況と比較すると、期待の持てるものではない。

 「2010年から2011年の予測では、ラテンアメリカ全体の貧困は減少を示している。しかし、メキシコは、CEPALがデータを検討した国々の中には入っていない」と、ボルトビニク博士は述べた。

 同博士はまた、メキシコが現在も、ラテンアメリカで2番目に人口の多い国であることを指摘し、ラテンアメリカという地域レベルで起きることは、何らかの形で、メキシコに影響を与えなければならないが、この場合は、メキシコの現実に、地域は反映されていない、と指摘した。

 特に、南アメリカは、非常に良いペースで成長し続け、2009年の危機から脱出しつつある。南アメリカは、継続的な成長を可能とする経済政策によって、より早く回復した。

 ボルトビニク博士によると、ブラジルの貧困率が、CEPALの発表で20.9%であるのに対し、メキシコの貧困率は、国内の最新データで36.3%であることは、対照的なことだ。というのは、ブラジルは15年前、メキシコよりはるかに貧しかったからだ。

 「ブラジルとメキシコの間に、社会的、経済的ポジションの劇的な変化があり、その違いは尋常ではない。メキシコの貧困について、観察していく必要があるが、メキシコ社会発展政策評価会議(CONEVAL)の暫定データによると、状況は悪化している」

 それについて、ボルトビニク博士は次のように説明した。CONEVALの被雇用者貧困指数は、被雇用者のうち、その収入が、基本的食料を買うのに十分でない人々の割合を表す指数である。統計局が最後に貧困調査を行った2010年の第3四半期から、2011年の第3四半期までの、被雇用者貧困指数を見ると、数値が増加している。というのは、この指数が使用され始めた2005年を1とすると、2010年には1.23、2011年には1.29となっているからだ。

 「数値が増え、貧困が増えている。残念なことに、メキシコにおける貧困の傾向は、ラテンアメリカ諸国全体と同じ方向には向かっていない」と、ボルトビニク博士は述べた。

 また、同博士の意見では、この責任は、直近12年間メキシコを治めた国民行動党(PAN)にあるのではなく、1983年に制度的革命党(PRI)がとった経済政策にある。1983年、PRIはインフレ防止のために経済抑制政策をとったが、その政策は、経済成長を促進するものではなく、貿易赤字をほぼゼロに維持する、つまり、単に財政収支のみに注意を払う政策であった。

 「このような方法で経済運営をしたため、貨幣の価値が下がらず、富裕層は喜んだが、経済成長がないために、庶民の生活は変わらなかった。この政策は、来週の土曜日からの新政権が実行する政策と、あまり変わらないだろう」と、ボルトビニク博士は述べた。

 同博士が述べたところによると、メキシコが、ラテンアメリカのその他の国々と同じ方向へ進むために必要なことは、もっと全般的な社会政策である。単に最貧層に焦点を合わせるだけではなく、国民全員に届くような社会政策が必要とされる。なぜなら、最貧層は援助によって助けられるには違いないが、国全体の状況は変わらないからだ。経済運営に大きな変化を与えることが必要である。

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