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フラッキングの真実 (2)フラッキングで行われていること

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イラスト:フラッキングはどのように行われるか?
1. 数百万リットルの水に、砂と有害な化学薬品を混ぜたもの(フラッキング水)が、垂直に掘った井戸から高圧で注入される。
2. 有害物質を含むフラッキング水が、地上の施設のパイプやバルブ、運搬用のタンクなどから漏れ、地域の地表水(川、湖など)を汚染する。
3. 地下に注入されたフラッキング水が途中で漏れ出し、地下水を汚染する。
4. フラッキング水は、2000m以上の深さまで垂直方向に注入され、その後、水平方向に2000m以上注入される。イラストのこげ茶色の地層が、天然ガスを含むシェール層。化学的に処理された砂やセラミックスがプロパント(支持材)となり、開いた亀裂が閉じることを防ぐ。
5. 高圧で水を注入することで、天然ガスを取り出すための亀裂を作る。
6. 注入されたフラッキング水の大部分は地下にとどまるが、この水は生分解されない。
7. 高圧での破砕によってできる多数の亀裂を通って、有害な化学物質を含むフラッキング水やメタンガスが上がってくる。
8. ベンゼンやメタンガスなど、発がん性のある有害物質を含む水が、地域の帯水層に漏れ出し、地下水を汚染する。
9. 汚染された地下水からくみ上げた水が、家庭用の上水道へ配水される。
10. 高濃度のメタンガスによって、水道水には火がつき、有害ガスが発生する。
11. 使用後の有害なフラッキング水は、しばしば隔離されることもなく、漏出防止処理が不十分な溜池に流し込まれ、漏れ出して、地域の地表水や地下水を汚染する。
(Revista del aficionado)

 水圧破砕法(フラッキング)とは、一般的に地下1000メートルから5000メートルの深さにある浸透率の低い泥岩層”シェール”に貯留している天然ガスや石油(非在来型化石燃料)を採掘するために、坑井を水平に掘削する技術のことだ。

 この技術を用いて地下のシェール層を破砕し、天然ガスや石油を取り出せば、生産量を増やすことができるだけでなく、すでに廃坑となっていた既存のガス田・油田を再利用することもできる。しかし、この方法で化石燃料を採掘するためには、広大な面積の土地に何百個ものガス井・油井を掘らなければならず、化学物質(その多くは有害)を混ぜた水を、地中に大量に注入しなければならない。

 非在来型化石燃料の生産プロセスは、フラッキング時に地中に注入する水に混ぜる砂(シリカ・サンド)を採掘・処理することから始まり、ガスや石油の製品となって輸送・販売されることで終了する。生産工程では、凝縮処理、脱湿処理、液化処理のための処理プラントや、掘削用の井戸、パイプライン、鉄道輸送用のタンク、貯蔵タンクなどの設備が必要とされる。また、フラッキングで生じる大量の有毒な逆流水を処理する廃水処理施設も必要となる。

 米国では、フラッキングによる採掘が人口密集地の方へと拡大するにつれて、フラッキングの頻度と強度も増していき、フラッキングによる資源開発が、人と集落に取り返しのつかない危険をもたらすことを証明するケースが、多数発生するようになった。

 フラッキングは、水と空気と土壌を汚染し、農業と地価と健康に悪影響を及ぼし、気候変動と地震を招き、安全な暮らしと安定した社会を脅かし、結果として、住民の将来を破壊している。次回「フラッキングの真実(3)」では、フラッキングが人の健康に及ぼす影響を取り上げる。

(ラ・ホルナーダ・エコロヒカ216号 2018/02/03)

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