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東方の三博士の日のパン、ロスカ・デ・レジェス

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写真:ロスカ・デ・レジェス (Mexico Produce)

Mexico Produce

 メキシコでは、毎年1月6日は、家族や親戚が集まり、東方の三博士の日を祝います。小さな子供たちは、この日をとても楽しみにしています。なぜなら、この日は、贈り物をもらったり、ロスカ・デ・レジェス(東方の三博士の日に食べるリング型のパン)を、皆で切り分けたりするからです。

 酵母で作ったパンであるロスカ・デ・レジェスは、元々は、スペインなど、ヨーロッパの伝統的なパンでした。しかし、このパンは、メキシコに持ち込まれると、あっという間に広まり、今では、メキシコの料理や文化を語る上で、なくてはならないものとなりました。

 ロスカ・デ・レジェスの起源は、ローマのサトゥルナリアの祭りですが、キリスト教会がそれを取り入れ、イエスが東方の三博士の前に現れたことを記念する行事となりました。美しい衣装をまとった東方の三博士は、幼子イエスの誕生を記念して、イエスに三つの特別な贈り物をしました。それは、富を表す黄金、崇拝を表す乳香、犠牲を表す没薬でした。

 ロスカ・デ・レジェスのパンは、始まりも終わりもない円形をしていることから、神の愛を象徴していると言われています。また、パンの上に飾られるドライ・フルーツやフルーツの砂糖漬けについては、東方の三博士の王冠に埋め込まれた宝石を表しているという説や、人々が神の愛に近づくことを妨げる様々な歓楽を表しているという説があります。

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写真:パンの中の幼子イエスの人形 (Palpitar Mexico)

 ロスカ・デ・レジェスのパンの中には、幼子イエスをかたどった人形が隠されています。これは、イエスの両親であるマリアとホセが、ユダヤのヘロデ王からイエスを隠したことを暗示しています。というのは、ヘロデ王は、ユダヤの新しい王となる人物(イエス)が生まれたことを知り、自分の王位を守るために、すべての小さな子供たちを殺すことを命じたからです。また、パンを切り分けるナイフは、幼子イエスの身に降りかかる危険を表しています。

 東方の三博士の日には、ロスカと共に、泡のたったおいしいホット・チョコレートを飲みます。このチョコレートも、ロスカ・デ・レジェスのパンと同様に、メキシコ先住民とスペイン人の文化が溶けあってできたものです。また、集まった一人一人が、パンをナイフで切り分けますが、切ったときに、運よく幼子イエスの人形にあたった人は、幼子イエスの人形の代父となります。代父になった人は、人形に新しい服を着せ、2月2日のカンデラリアの日に、教会に持って行きます。また、代父は主人役としてごちそうを準備し、集まった人々をもてなします。このカンデラリアの日に食べるごちそうは、タマル(トウモロコシの蒸しパン)とアトーレ(トウモロコシの粉でとろみをつけたあたたかい飲み物)です。

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写真:カンデラリアの日に食べるタマルとアトーレ (Planeta Tepoztlan)

ロスカ・デ・レジェスのパンの売り上げは?

 メキシコの製パン業界は、今年のロスカ・デ・レジェスのパンの売れ行きを、200万個以上、金額にすると400万ペソ(約2800万円)以上と見込んでいます。

 メキシコ製パン産業会(CANAINPA)によると、ロスカ・デ・レジェスの値段は、1個110~120ペソ(800円前後)ですが、使用する食材などによっては、180ペソもするものもあります。

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