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最低賃金はわずか9分間の労働価値

残りの7時間51分の労働で生じる利益は政府と企業の利益に。
600万人以上のメキシコ人が、必需品を買うために20時間以上働かなければならない。

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写真:メキシコ市の市場の食料品の値段 (Jose Carlos Gonzalez)

フアン・カルロス・ミランダ
La Jornada 2012/05/07

 メキシコ国立自治大学経済学部学際分析センター(CAM)の分析で、メキシコの最低賃金労働者の賃金(日給)は、わずか9分間の労働の価値であることがわかった。残りの労働時間(7時間51分)で生じる利益は、政府と企業の懐に入る。

 労働者の賃金に割り当てられる労働時間は、2008年の12分から、今年4月の9分と、短くなった。経済危機による解雇者数の増加によって、労働者は、少人数で大きな利益をあげるよう強いられたためである。

 分析は、メキシコ国内の労働者人口と収入レベル、職種の詳細なデータである「雇用労働調査」と、生産物の総計とその価格を示した「国民経済計算体系」のデータをもとに行われた。共に、メキシコ地理統計局によるデータである。

 CAMのダビ・ロサーノ研究員は、「このデータによって、職種と、それに従事する労働者数を知ることができ、それを職種ごとの総生産高と比較することで、労働者の賃金に割り当てられなかった労働時間数を知ることができる」と取材に答えた。

 研究によると、メキシコの最低賃金労働者数は、600万人(この数字は、エルサルバドルやパラグアイの総人口とほぼ同数である)以上で、彼らは、最低限の食料品を買うために、平均20時間働かなければならない。

 現在、A地域(*)の最低賃金は、8時間労働で日給62.3ペソ(約378円。つまり、最低賃金労働者の時給は7.7ペソ、約47円となる)であるが、一方で、最低限必要な食料品の価格は、(住居費、医療費、娯楽費を含まずに)この4月に160.8ペソに達した。

 CAMの5月の研究報告は、労働協約の改ざんや、労働条件の柔軟化が、物は生産されたが、その分の賃金はまだ払われていない生産物の増加、および、最低必需品を賄うために必要な労働時間数の増加につながっていると指摘している。

 また、世界的に資本主義経済政策がとられ、それが労働者の搾取を増長したと分析している。

 「雇用労働調査」のデータによると、メキシコの最低賃金労働者は636万8797人、410万人は無報酬、1070万人が最低賃金の1-2倍の収入となっている。それは、就業者の44.5%(約2110万人)が、最も高収入の場合でも、日給124ペソ66センターボ(約753円)であることを意味している。

 憲法第123条第6項に定められていること(最低賃金の持つべき性質を規定している条項)は、荒唐無稽である。

 政府と企業が、憲法に定められたことを尊重するなら、つまり、最低賃金は、一家の大黒柱が物質的、社会的、文化的分野で必需品を賄い、子供に義務教育の機会を与えるに足る金額であるべきことを考慮するなら、最低賃金は160ペソ86センターボでなければならない。

* 最低賃金の金額によって各自治体はA、B、Cの3地域のいずれかに分類される。A地域が最も高賃金。

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